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【雑記】『京都人の密かな愉しみ』を密かに観る愉しみ

 録画しておいたNHKのTVドラマ『京都人の密かな愉しみ』を観るのがちょとした愉しみだ。京都関連の番組を、ある時からなんとなく好んで見るようになった。白状すると京都に興味を持ち始めたのは、元カノが嫁いだ先だったからだ。

 振られてしまった彼女と、その後も仲が良いのは果たして良いことかどうかわからないけれど、元カノというより古い友人のような感覚でいたような気がする。そんな彼女が京都に嫁に行くと聞いた時、正直、一抹の不安がよぎったのは間違いない。

 古の都、京都で暮らすには色々なしきたりや何かと気を遣うことが多そうな(勝手な)イメージがあったからだ。もちろん、京都を嫌っているわけではなく多分にTVでやっているお遊び的な分野で植え付けられたイメージであることは間違いない。

 元カノは「かかあ天下とからっ風」で知られる上州(群馬)の女。「東男に京女」とは良く言われるお似合いの組み合わせであるが、その逆なのだった。はたしてこの組み合わせはどうなんだろう、などといらぬ心配をした。まあ、だからどうしたということもないのだが、彼女が幸せになってほしいと願っていたのは確かだった。

 このTVドラマは、京都人の生活をクスっと笑えるコメディーをちりばめながら、それでも日本人の人情をきめ細やかに描いていく。夜、酒を飲みながら一人密かに観るのがちょうどいい。いくつかのエピソードが同時進行して行くのだが何処を切り取っても京都を舞台にしていることもあり、しっとりと心に染みる物語になっている。

 やっぱり京都は魅力的な街だ。元カノがちょっぴり羨ましい。聞くところによると、彼女はとある老舗の跡取りに嫁いだらしかった。
 

 しかし、嫁いで数年後のある日、とある噂を耳にすることになる。その元カノが結局、京都から戻ってきたらしいということだった。こんなとき、元カレとしてはどんな感情を持ったらいいのだろうか。自分のことを思い返すと簡単に言えばほんのちょっとだけ『ほっとした』気がしたのは事実だった。いや、ほんとうにちょっとだけだと強調しておきたい。こんなバカでごめんなさいだ。

 そんな事情もありつつ最新シリーズの『京都人の密かな愉しみ Blue 修業中』を観ているのだが、高岡早紀演じるところの老舗料亭の女将についつい元カノを重ねて感情移入してしまっている自分がいる。ドラマでは夫である若旦那は女を作って行方不明。家にはいない設定である。女将の高岡早紀は隠居した先代からの信頼も厚く、ひとり健気にのれんを守っているのだった。ううむ、やっぱり京都の老舗なのだな。実の息子であっても跡継ぎにふさわしくなければ切り捨てられるのだ。

 元カノはドラマのようには上手くいかなかったようだ。彼女の周りには嫁を擁護してくれる大旦那のような人物は現れなかったらしい。その後、どうしているのだろうと思いを馳せる。今さら心配してもしょうがないのはわかってはいる。それでも、もしまた会うことがあったら京都の話もたっぷり聞きたい。でも、やっぱり...…バカ言ってんじゃないわよと、雷が落ちてスカッと終~了~!となる気がする。

 いやむしろ、それぐらい元気な彼女でいてほしいと心から願っている。
 

 京都にハマるきっかけになった元カノは無事(?)帰還してしまい、結局のところ自分と京都の繋がりは何もなくなった。それでもこのドラマはおもしろい。女将、高岡早紀の行く末やいかに。一人密かに新たな展開を待っている。
 
 
 

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