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ナショナルサイクルルートを実走比較

ナショナルサイクルルートをご存知でしょうか?
国がサイクルツーリズム推進を目指して制定したサイクリングルートのことです。
2020年10月現在下記の3ルートが制定されています。

・しまなみ海道サイクリングロード
・ビワイチ(琵琶湖一周ルート)
・つくば霞ヶ浦りんりんロード

先月やっとすべてのルートを走りきることができたので、個人目線にはなりますが比較してみたいと思います。まずは結論の星取表から。

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こんな感じだと思います。安定のしまなみ海道です。ではそれぞれのコースについてレビューしていきます。

しまなみ海道サイクリングロード

コース全長:
 今治ー尾道間 約70km
 私が走ったのは今治⇒尾道の片道です。

コースの安全性、走りやすさ:〇
 島を結ぶ橋上と、その橋に上がるための連絡路が自転車専用(原付も走る)。それ以外はほぼ一般道。
 一般道の交通量はさほど多くないので、それほど危険な目に遭うことは無いと思います。
 橋への連絡路が坂になっていますが斜度が制限されているのでそこまできつくはありません。むしろ島の中のアップダウンの方が私はきつかったです。私のログでは片道での獲得標高は800mでした。

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コースの分かりやすさ:〇
 ほとんど分岐がなく、矢羽根も道路上に描かれていますので、迷うことは無いと思います。若干注意が必要なのは向島。尾道との間を橋で渡るか、船で渡るかによってルートが変わるので前もって決めておきましょう。

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サポート体制:〇
 コンビニや自販機も比較的見つけやすいです。
 今治と尾道の両端にGIANTのショップがあり、レンタサイクルすることができます。今治で借りて尾道で返すってのもできます。

コースの魅力:◎
 とにかく走っていて楽しいし、しばらく止まって景色を眺めるのも良い。特に橋の上からの景色は絶景ばかりです。天気のいい日に行ければ、かなりリフレッシュできます!

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アクセス・離脱のしやすさ:△
 尾道か今治かの2択になります。尾道には新幹線が、今治には松山空港を利用した空路がアクセス手段になるでしょう。輪行が不安ならレンタサイクルがおすすめです。
 途中トラブルなどでの離脱に関しては船かタクシーということになります。

こんな人におすすめ:
 一人でも、グループでも、万人にお勧めできます。小さなお子様には距離が厳しいと思うので、1,2本の橋を渡って折り返す、というようなルートがおすすめです。
 自転車に乗る人も、普段乗らない人も、是非一度は走ってほしいコースです。

ビワイチ(琵琶湖一周ルート)

https://www.biwako1.jp/

コース全長:
 全長 200km弱
 北湖のみ 150km
 南湖のみ 50km

コースの安全性、走りやすさ:△
 高速コースと低速コースがあります。高速コースは矢羽根で自転車通行帯が作られているものの、ほぼ一般道。中にはかなりの交通量の国道も含まれています(湖西側)。1周通してほぼ平坦ですが、北端には小さいながらも峠道が含まれています。私のログでは1周の獲得標高は600m程度でした。
 右岸側の交通量はそうでもありませんが、左岸側の交通量はシャレになりません。危険を感じるレベルです。
 低速コースは基本歩道と国道の脇道なので段差も多く走りにくいのが難点です。

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コースの分かりやすさ:×
 高速コースと、低速コースの2種類が入り乱れ、分岐も多く、一般道なのでつらいです。
 特に大津付近の市街地でコースが分かりづらく、迷います。道路に右左折を示す矢羽根が書かれているのですが、車が多くて隠されてしまうケースがあり、迷いました。

サポート体制:〇
 ほぼ一般道なので特に困らないです。湖東側は市街地ではないので数キロ何もない、とかありますが、少なくとも10km内外には必ず補給できるところがあったと思います。GIANTのショップもあるので、緊急時も安心?北端付近で一旦湖岸から離れるのですが、その辺が少し市街地から離れます。
 西側はぽつぽつ町があるので困りません。

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コースの魅力:△
 海辺の見晴らしのいい道路っぽいところとか、田園風景の中を走る道とか、交通量のやたら多い国道とか、ちょっとしたバリエーションはあるのですが、基本的に湖の周囲を回っているだけなので、あまり変化がありません。
 ここには寄っておきたい!みたいな場所も特になく・・・

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アクセス・離脱のしやすさ:〇
 ほぼ全周鉄道が走っているため、何処からでもスタート、離脱が可能です。これは地味にプランを立てやすいですし、トラブルへの備えとしても助かります。
 私は大津京という駅を始点・終点としました。200kmはきつかったので、途中一泊させていただきました。

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ホテルからの眺め@長浜

こんな人におすすめ:
 200kmを一気に走れる力のある人にはちょうどいいコースなのでは?基本的にがっつり走り込みたい人向けだと思います。
 交通量の多い道を走らされるので、ファミリーには向きません。

つくば霞ヶ浦りんりんロード

https://www.ringringroad.com/

コース全長:
 全長180km
 霞ヶ浦一周 125km
 霞ヶ浦一周ショート 90km
 旧つくば鉄道コース 40km(片道)
 筑波山ヒルクライム 25km

コースの安全性、走りやすさ:◎
 どのコースもほぼ自転車専用道。
 旧つくば鉄道コースは完全に自転車専用道になっていますので路面も走りやすいです。が、ときおり一般道と交差するので、車止めをよけたり、一時停止しなくては行けなかったりと、走りに集中というわけにはいきません。
 筑波山ヒルクライムは文字通りのヒルクライム・ダウンヒルルート。一般道の峠道をのぼります。
 一方霞ヶ浦周回コースは全部が自転車専用道というわけではなく、地元乗用車の往来がまれにあります。とはいえ危険を感じるレベルではありません。

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コースの分かりやすさ:○
 ほぼ分岐もなく迷いようがありませんが、土浦市街地のみちょっと複雑なので注意が必要です。
 もっとも道に迷ったのが、旧つくば鉄道コースから、筑波山ヒルクライムコースに分岐するポイント。看板があるわけでもないため、携帯で地図を見ながら探し回る羽目になりました。

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サポート体制:×
 旧つくば鉄道コースは、きれいな一本道が続くルートなのですが、元鉄道の線路があったところなので、幹線道路とは離れており、周りに店とかほとんどありません。昔の駅が休憩所として残されていて、いい雰囲気はあるんですが、トイレはあるのに自販機が無くて補給できないってところが多いのが難点。さらにコースの最北端はJRの駅の裏の広場みたいなところなんですが、ここにもトイレしかなくがっかり。駅の反対側の幹線道路沿いまで行けばマクドとかもあるので、まあなんとかなりますけど。
 霞ヶ浦周回コースはより一層ストイックです。湖南側は湖畔をひたすら走る道で、20km以上平気で何もないです。北側の湖畔では何か所か休憩所があり、補給もできるのでこちらは問題ありません。

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ゴール地点。なにもない。

コースの魅力:×
 行った日が悪かったのか、正直湖も綺麗ではないし、なんか臭ってました。湖畔の道なのでほとんど変化がありません。ビワイチよりもずっと単調です。
 唯一、筑波山ヒルクライムルートだけはアクセントになって面白かったです。

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アクセス・離脱のしやすさ:△
 実質土浦一択です。道以外何もないので、途中離脱はタクシーのみでしょう。土浦駅は一見の価値ありです。りんりんロードを中心としたサイクルツーリズムによる町おこしを狙っているので、エキナカのホテルも自転車を部屋に持ち込めたり(一部の部屋。ふつうは部屋の前の廊下に引っ掛けて置ける)、カフェの内装がBianci一色だったり、もちろんバイクショップもエキナカにありました。

こんな人におすすめ:
 つくば鉄道コースと霞ヶ浦の北岸は安全なので、ファミリー向けにいいと思います。南岸はストイックすぎてつらいです。
 筑波山ヒルクライムはお好きな人がどうぞー。

以上です。この3か所のナショナルサイクルルートはそれぞれに特徴があって、楽しく走れましたが、本当にサイクリストにうれしい環境になっているかというと、かなり疑問が残りました。安全性とホスピタリティの向上を切に願っています。

(注)レビュー内容はあくまでも筆者の私見です。



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