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『センスの問題』 369字

「おお、これが例の?」
「うむ。理論上可能であったとは言え、実用化には正直苦労したよ」
N博士は誇らしげに記者に応える。

「で、名称は何と?」
「うむ、『オバケレインコート』にするつもりだ」
「そ、それはまた何とも・・・(マジか?)」
「ん?」
「いや、誠に・・・ユニークですね(汗)」
「だろ?あの至高のアニメ、『銅鑼衛門』ぽいだろ?
”レインコート”に透明感があってオサレだろ〜(ドヤ顔)。
で、これが軍に採用されたら僕は億万長者だ。むふふ」

インタビューを終えた帰途、記者は独言る。

「無いわ〜このネーミングは無いわ〜。
世界初の光学迷彩服だぞ?ノーベル賞もんだぞ?
『銅鑼衛門』って・・・アニオタかよ。
まったく。科学者ってのは、どうしてみんなコウなんだ・・・」

まあ、世を驚嘆させるような発見や発明ってのは、いつの時代も『オタク』が成し遂げたりするものなのだ。

<了>

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【あとがき】
ちなみに、既に熱関知システムが普及していた為に軍での採用は無し。

どころか電柱の影に潜んで局部を晒す者や犯罪に利用する者が多発するとして民間での販売も禁止され、博士の億万長者になるという夢は文字通り白日のオバケのように消え失せたのだった。

チャンチャン
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拙作、お読み下さり有難うございます。
『たらはかに』さんの企画に応募させていただきます。

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