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イタリアのトイレの張り紙(vs箱根)

"Non dico di fare al centro ma almeno fare al dentro"
ノン ディーコ ディ ファーレ アル チェントロ マ アルメーノ ファーレ アル デントロ

ローマから「全ての道はローマに通ず」にあたる旧街道の一つでもあるフラミニア街道Via Flaminiaを40kmほど北上したリニャーノ・フラミニオRignano Flaminio というこじんまりとした町で、壁画修復コース仲間と一日の前半の教会での作業を終え、教会前で日向ぼっこしながらめいめい家から持ってきたランチ(ダイエットのためにひたすらフルーツだけの人あり、パニーニを食べる人あり、私はおにぎり弁当だったりパニーニだったり)を食べ終えると、作業用の白い繋ぎの姿のまま必ずと言って良いほど皆で立ち寄ったバールがあった。

日本でも最近見かけるようになった銘柄のエスプレッソを飲んだのは、イタリアではそこが初めてだった。ローマでは比較的焦げ臭めのエスプレッソに当たることも多かったのだが、このバールのエスプレッソ(※イタリア人にとってエスプレッソは「カフェ」なので、「ウン・カッフェun caffè 」と頼めばエスプレッソが自動的に出てくる)は文句なしに美味しかった。

そんな町の何の変哲もないバールなのだが、トイレに入ると、男性なら必ず目にするであろう便器の上の壁に、手書きの拙い字で上のような文字が踊っていた。

「ド真ん中にやれとは言わないが、少なくとも中にやってくれ」。

なんと。

「チェントロ(中央)」「デントロ(内部に)」で韻まで踏んでいる。さすがは詩聖ダンテの国。

感心してしまったのだが、もちろん見た瞬間は「ヘッ」と吹いてしまうだけだった。

キャッチーな「コピー」ではないが、箱根町観光課も負けてはいない(上の写真)。

イラストで実に分かりやすいのだが、左上から順に追っていくと一番最後に…

便器で釣りをするな?

理由は色々考えるのだが、まだ観光課に問い合わせてはいない(私としたことが…)。

当然、お連れしたイタリア人のお客様は必ずと言って良いほどこの張り紙を記念撮影していく。

張り紙や看板は結構油断のならない、というか油断させてはならない工夫に溢れているので、イタリア人に振り回されて疲労困憊しボーッとしたいトイレでも油断がならなかったりする。

油断ならずとも、笑えるのは仕切り直しの時間にもなるので、トイレ空間の大事さを思い知る。和みの小空間ならどんな手法でもバンザイ、かな。

基本的には圧倒的に日本のトイレに軍配。清潔で便座があり(イタリアは無くても当たり前だった。今はどうかは知らない)、しかも温かい。シャワー付きでトイレットペーパーも大抵ある。日本のトイレはコロナを経て、さらなるパワーアップを見せる気がして仕方がない。

(とはいえコロナで困窮する人が増えた日本も、トイレットペーパー盗難事件が増える一方かもしれない)

ちなみに冒頭のイタリア語フレーズは文法的に合っている気がしないのだが、どうやらイタリアのトイレの張り紙パターンは色々あるようだ。イタリア語に興味のある方はぜひ下記リンクへ飛んでみてほしい(中〜上級者向け?)。

https://www.frasicelebri.it/frase/non-dico-che-facciate-centro-ma-almeno-fatela-dent/

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