連載『オスカルな女たち』
《 孤独な闘い 》・・・5
「来年中学生ですよね? まだ早いんじゃ…」
そう言いかけて、中学生の娘に「ピルの処方」をしてくれとやってきた若い母親を思い出して口をつぐんだ。
「また、なにか揉め事ですか…?」
言われて図星の真実(まこと)ではあるが、
「最近はケンカにもならないよ」
と、つまらなそうに応える。
いつか玲(あきら)が「娘と対話ができない」と言っていた・・・・。
中学時代の真実は母親が嫌いでほとんど口を利かなかった時期があった。母親の操(みさお)は、まだ真実が幼いころから、医院を切り盛りしながら女手ひとつで真実を育てくれた。それについて感謝はしているが、いつも「仕事、仕事、」で周りには「放任主義」を気取っていながら、こと真実のプライバシーにやたらと介入したがるその過保護ぶりが鬱陶しくてならなかった。
玲の言葉を借りて言えば「当時母親との関わりがなかった(絶っていた)」自分は、今中学生になろうとしている娘相手になにをどう言えばことが穏便にすむのか、まったく解らないと言っていい。
そして今、自分もまた母親と同じ「母子家庭」で娘を育てている。自分は「そうはならない」と、子ども自分に心に誓っていながら結局同じ道を辿ってしまっている。それについては大いに反省すべき点かもしれないが、それは真実の気性も影響してのことだった。
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです