伽藍堂
真っ白な姿で生まれてきました
気づけば黒く変わり果てていました
心だけだと思っていたら
肺は心の色に敵いませんでした
フィルターを舐めては
接吻のように感じる日々を送っていました
指の数では足りなくなる日が増えてきました
身体を泡で包んだ匂いは煙というより
あなたのような気がしました
煙はトランスルーセントになっていきました
よく知った女が私と一緒に布団に入っていました
女は私の方を向いて目を瞑ったまま
幸せそうな唇をしていました
私は頬にキスをしてやりました
表情は変わりませんでした
煙はトランスパレントになっていました
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