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多様な他者と協働することで、多様な価値観・視点が身についた、総合的な学習の時間【中間まとめの会】

こんにちは、郡南中学校です。

2023年も残すところあと少し。皆さんの2023年はどんな1年でしたか?
郡南中学校では、12月5日に「総合的な学習 中間まとめの会」を開催いたしました。まさに、今年1年どんな活動をしたかの総集編です。


「SDGsという言葉を聞く機会が増えている中、何ができるかを探究してきました。」

本校の生徒が司会進行を務め、各学年の探究テーマについて発表しました。今回のnoteでは、それぞれの学年が何を見て、感じ、取り組んできたのかをお伝えいたします。


すごく楽しい!そう思ったから、もっと郡上の魅力を知ってほしい<1年生探究テーマ:清流長良川 ~山 ・川・海のつながり~>

国連の温暖化対策サミットで当時16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさんの演説の様子を生徒が見たことから、総合的な学習の時間は始まりました。

自分たちと同世代のグレタさんが、意志をもってスピーチに臨む姿に生徒は心動かされます。その後の授業では、沢登りやサップ、eバイクといったアクティビティを通じて、郡上の魅力に触れる時間を過ごしていきました。


「沢登りではオオサンショウウオの姿を見たり、鳥の鳴き声がいつもより近く感じたり。これが私たちのいる美並の魅力なんだと感じました。」

しかしアクティビティを教えてくれた方から投げかけられた言葉に、生徒たちは驚きを隠せません。

「アースシップの水口さんからは、このままいくとこの豊かな景色がなくなってしまうというお話を聞きました。」
「古川林業の古川さんからは、植物の生えるスピードが変わってきている話を聞きました。」

これまで自分たちの目や肌で感じたことから、「自分たちに何ができるだろう?」という気持ちが芽生えてきた生徒たち。実際にネクストアクションを考えます。

「森と川のつながりに関心を持ってもらうために、森クイズを考えてみました。また植林をすることで木々が雨水を貯える緑のダムを作っていくことが大切だと考えています。」

「ポスターでfscマークを使うことを薦めることで、今ある植物を大切にしていきたいと思います。」


自分たちなりに考えたアクションを実施しながら、1年生は今後、郡上市環境課と連携して、長良川のゴミ問題について学んでいく予定です。


参加者から質問・感想をいただいた後、本校のSDGs教育のアドバイザーを務める定住機構の興膳健太さんより、1年生に向けて激励の言葉をいただきました。

「沢登り、一緒にやって本当に楽しかったです。これまでの体験や企業の人の話から感じたことを提案してくれ、これからアクションを起こしていくのが楽しみです。

一つ、皆にリクエストをしたいです。
今ある感覚を覚えておいてほしいんです。課題にぶつかったとき「何でこうなんだろう?」という気持ちは、大人になるといつしか「しょうがないよね」「難しいよね」という気持ちに変化してしまいます。
皆が「もっとこうあればいいのに」と思う気持ちが、大人を動かします。皆が動かすんです。
この美並という地域は、先生も地域の大人も協力的な人が多いです。ぜひ理想の未来をワクワク話して、深めていってほしいと思います。」


同世代の人に興味を持ってもらい、都会にはないものを届けていきたい<3年生探究テーマ:持続可能な清流長良川の未来を私たちの手で~郡上の強みを生かした教育旅行~>


「皆さんは郡上の魅力、知ってますか??」そんなスライドとともに始まった、3年生の発表。

これまで郡上の魅力を深掘りしていく中で、同世代である学生をターゲットにした教育旅行の企画を行いました。


アクティビティ・料理・文化・癒し など、9チームに分かれて教育旅行企画を作ります。

実際にその中からeバイクを活用したツアーのコンペティションを実施し、10月に開催したGUJO OUTDOORWEEKでの体験ツアーとして、2チームが選ばれました!👏

▲実際のツアーの様子はこちらをご覧ください!


考えたツアー内容の下見を行い、「もっとこうしたらいいのではないか」と改善を重ねていきます。そして、いよいよツアー当日。

自分たちが企画したツアーだから、自分たちでアテンドまで行いたい」と生徒が志願し、ツアー参加者のアテンドを行いました。参加者の反応を知ることで、手ごたえを感じることができました。

粥川のうなぎの伝説について、参加者へ説明する生徒
eバイクツアーの様子。当日は郡上市内外の中学生も参加してくれました!

ツアーで考えたことが伝わったかどうか、アンケートを実施したり、インタビューを行いフィードバックをもらったりするなど、今回のツアーをさらにブラッシュアップし、教育旅行の企画を行っています。

現在考えているのは「長良川鉄道を活用した教育旅行」
郡上市を7つのポイントに分け、組み立てました。今年の11月に実施されたふれあい懇談会では、堂々と郡上市長へ提案してきました!

「ふれあい懇談会で、私たちの教育旅行を多くの人に知ってもらうことができました。私たちは、授業で美並の魅力に気づいたけど、これまで気づくことができませんでした。同じ郡上市内の人に、ここの魅力を自信をもって外へ伝えてほしいと思います。」

「同世代に興味を持ってもらうことで、今後取り組んでいきやすくなると思っています。届けたいのは、特に他県の中学生です。東京や大阪など、都会にないもので、美並にあるものを届けていきたいです。」

参加者からの質問に、堂々と答える生徒たち

参加者から、たくさんの感想のことばと、質問をいただきました。その中で一つ、素敵な質問をご紹介いたしますね。

ー授業を通して、変わったなと思うことはありますか?また、たくさんの人と関わったと思いますが、郡上の人の魅力って何だと思いますか?

生徒:生活しているだけでは気づかなかった、美並の魅力を深堀りすることができたのが、とても大きいです。
過疎化する美並ですが、色んな大人と関わることで、ふるさとを語れる姿に感動したし、私たちの疑問に答えてくれたり、やりたいことに応えようとしてくれたのが、美並の人の魅力だと思います。

1年生も3年生も、参加者からするどい質問もいただく中、どの質問にも堂々と答えていて、本当に頼もしい姿を見ることができました。一番感動したのは、参加者よりも郡南中学校の教員かもしれません。


本校のSDGs教育のアドバイザーを務める、サンメッセ株式会社の田中信康さんより、SDGsのこれからについてお話をいただくとともに、「自分が正しいと思うことを自信をもって、仲間を集めてやっていってください。ともに頑張っていきましょう!」と3年生へ激励のお言葉をいただきました。

サンメッセ株式会社のWebにも中間まとめの会について掲載いただいております。すてきにまとめてくださり、ありがとうございます!


商品はどんな風に作られているのか。値段を決める難しさ。お店を営むすごさを体感した<2年生探究テーマ:郡南マルシェに向けた商品開発>

郡南マルシェに向けて、商品開発の協力をしてくれるのは、以下の企業の方です。今回の公開授業では、郡南マルシェに向けた打ち合わせを行いました。

アンリエッタ(パン)
しょうりゅう(中華)
ミサト工業(箸、キーホルダー)
カムカムカフェ(カレー)
アウトドアヴィレッジ373(遊具・チラシ)
ムスビノカナデ(焼き菓子)

「フォレストパーク373」の愛称で親しまれてきたキャンプ場をリニューアルしたのが、「アウトドアヴィレッジ373」。これまでのフォレストパークのイメージを払拭し、新しく生まれ変わった様子を伝えるべく、生徒がチラシ案を考えてきました。

「対象は誰?地域の人だよね。そしたら、何をチラシに載せるといいと思う?」
「美並の人がアウトドアヴィレッジ373に来るとしたら、何だと思う?」

それぞれが考えてきたチラシを見ながら、情報の整理をしていきます。
生徒たちも「このデザインのほうがわかりやすい」「この2023っていらないんじゃない?」など、お互いのデザインのよさ、削ったほうがいいポイントを話し合いました。


カムカムカフェチームでは、カレーの試食を行いました。生徒の意見をもとに、2種類のカレーを用意。

その場で温かいカレーを盛り付けてくださったカムカムカフェのお二人。おいしそうな匂いが会場に立ち込めていました。

「ソースが甘くておいしい!」
「カブとカレーが合うか不安だったけど、美味しいね」
「こっちは定番のカレーって感じがするけど、もう一つのほうは味が変わっていて面白い」

2種類食べ比べをし、マルシェで出すカレーが決まりました。(どちらになったかは、マルシェでのお楽しみ!)


余談ですが、三島校長も試食し「「スパイシーだけどマイルドで、こっちのカレーが美味しいと思う!」と1票いれましたが、残念ながら採用されませんでした(笑)


上記2チームの他にも、生徒が思い描いた商品が形作られる様子を見ることができました。

ムスビノカナデチームでは「さつまいも」を推した商品で「もう少しさつまいもが分かるとうれしい」という生徒の意見から、もう一度試作を行うことになりました(ご協力本当に感謝です!)


しょうりゅうチームはしいたけ嫌いな生徒も美味しく食べれたことから、商品のPOPには「しいたけ嫌いも食べれる」ことを推そう!と文言が決まりました


ミサト工業チームではキーホルダーの形をどうするか議論しました


アンリエッタチームもデニッシュ生地の形をどうするか議論しました


「企業の方から教えてもらうんじゃなく、生徒も企業の方もフラットな立場で意見交換していることに驚きました!」
参加者からはこんな声もいただいており、授業を通して両者が信頼関係を築きながら商品企画を進めてきたことが伝わってきます。


「値段の決め方って難しいんだと感じました。同時にお店の人のすごさも感じました。当日は来てくれた人に美味しかったといってもらえるように、接客も宣伝も頑張りたいです」

最後の感想共有では、自分たちの商品が出来上がるワクワク感と、それを形作るお店の人の大変さを実感した感想が生徒から寄せられました。


「社会を変革できる子に育てたい」赴任して一番に伝えた想い

「私が郡南中学校に赴任して最初に教員に伝えたのは、社会を変革できる子を育てたいということでした。」

三島校長が郡南中学校にきたのは3年前。そのときも、国連の温暖化対策サミットでのグレタさんのスピーチを教員に見せました。「変革」というのは、一歩踏み出す力のことだと三島校長はいいます。

「今回皆さんに見ていただいたように、企業の方のおかげで子どもたちのやりたいことが実現しました。実現に向けて生徒たちが一歩踏み出したことで、どんどん子どもたちが変わっていく姿を見てきました。
今日の中間まとめの会もそうです。大人からのするどい質問にも、ちゃんと自分なりに考えて答えている子どもたちを、頼もしく見ていました。」

多様な他者とのふれあいが、生徒にとって大切です。2年生は今年の研修で志摩市の東海中学校と交流を行いましたが、「同世代と一緒にやりたい」と話す生徒の姿に、長良川流域で持続可能な社会に向けた大きな一歩になったのではないかと感じました。


また、三島校長はこう続けました。

「子どもたちの姿に、あるときは自分たちの教えがまだ足りていないのだと感じる瞬間もあります。じゃあ、どうやってそれぞれの科目で教えていくのがいいのかを、職員室で話し合うことが増えています。総合的な学習の時間で一番変わったのは、教員なのではないでしょうか。」

少人数ながらも、連携しあい「総合的な学習の時間」を作り上げてきた教員の皆さん。


郡上市の「ひと・まちづくり推進プロジェクト」SDGs源流educationの実証校としての取り組みは、来年が最終年となります。これまでの取り組みから分かったことをベースに、来年度も取り組んでまいりますので、引き続き温かいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。


いつも本校のnoteをご覧いただき、ありがとうございます。
皆さまにとって、2024年もよい一年になりますように。

それでは、よいお年をお迎えください!

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