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間違えるな、1984年と1985年の夏

 summer of 85が観たい。土曜日にワクチン2回目を打ちに行くので、きっとこの土日は家で倒れていることになるだろう。行けない。金曜日の夜に行こうかなと考えながら、耐えかねてサマー・オブ・84を家で観ることにした。なんで?

 サマー・オブ・84が映画館で公開されたとき、私は迷いに迷って結局観に行くことが出来なかった。あらすじからジュブナイルものでホラーということが分かっていたので、ジュブナイルもホラーも好きだから観に行くしかないと思っていた。しかし、私を踏みとどまらせたのは、ラストに若干のグロシーンがあるという情報。ホラーは良いけどリアリティのあるグロが苦手なので、映画館に行くことを断念してしまった。「ファイナル・デスティネーション」シリーズくらいであれば普通に観られるので、観に行けなかったことをとても後悔した。後にPrime Videoで配信が始まって、家でも観られるようになった。ありがとう、サマー・オブ・84。ありがとう、Prime Video。

 スタンド・バイ・ミーが大好きなので、オマージュと聞いてウキウキで観た。確かにスタンド・バイ・ミーを彷彿とさせるビジュアルの少年四人、そして始まる連続殺人犯であろう人物のなんちゃって捜査。途中までは少年たちの冒険を見守る気持ちで楽しめる。途中までは。

 流れ変わったなと思ったら、もう止まらないんだよね。勝手にジェットコースターに乗せられた気分。ラスト、グロというよりはただただ恐怖と絶望じゃん……。

 出だしの「恐怖は身近に潜んでる」と、ラストの台詞が同じなのも最高。少年だったデイビーが言うそれと、死が急に現実のものになったデイビーが言うものとは全く違う響きになる。「十二歳の頃のような友達はもう二度とできない」っていう友達と物理的に離れてしまっても心の中には残っているという成長を見せたスタンド・バイ・ミーに対して、サマー・オブ・84の成長の仕方な。成長というか現実をぶつけられた感じかな。怖いわ。

 でも、やっぱりこの恐怖はスクリーンで体感したかった。レイトショーで観て、帰るのが怖くなったりしてみたかったよ……。でもそれがサマー・オブ・84の世界なら、「こわ~い」って思いながら帰ってるところに真の恐怖を思い知らされるんでしょ? サマー・オブ・84の世界ならって言ったけど、現実に起こりうるし、隣人が本当に何をしてるか分からない社会だからこそラストの恐怖が響くなあと思いました。まる。今までで一番映画感想文ぽくて草。

 この世で一番間違えちゃいけない夏は1984年と1985年だから。語り継いでいこうな。でももし嫌いな奴がいたら、この映画はsummer of 85の前日譚だよって教えてあげると良いと思う。

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