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【読書】現野田市 福田村事件

読書レポート430

福田村事件
辻野弥生
2013年7月31日発行

惨劇を記述するのも難しかったような淡々とした記録報告書だった
関東大震災の日、東京周辺は人の心もぐしゃぐしゃに壊れていた
福田村事件が起きた福田村は野田市に合併されたエリアだが、大勢の朝鮮人が火をつけたり襲撃してくるぞという流言蜚語が、神奈川、東京、埼玉、千葉を中心にまことしやかに叫ばれていたようだ
日韓合併された中での日本人の恐怖感がヒステリックに現れた事件だ
実際に福田村などで殺されたのは日本人だった
香川県の三豊市から行商に来ていた15人が村民に囲まれ、赤ちゃんを含む10人が殺され残りは針金で縛り付けられていたという
殺害した者たちはその年の裁判で当然有罪になった
香川県まで逃げ帰れた少年などは訴え出るのも怖かったようだ
行商に出て殺された人々が被差別部落出身者だったこともあり、部落解放同盟も真実の追求に力を入れたようだ
私も1980年代に野田市役所内で同和問題対策課のプレートを見て、まだ市役所で対応しているのに驚いた記憶がはっきりとある
福田村事件などが尾を引いて部落解放同盟などとの対応が必要だった事にも気付かされる
福田村の中でも暗黙の内に語られることのない忘れたい事柄になっていたようだ
昭和57年になって改めてどんな事が起きていたのか昔を調べる活動が始まり1999〜2003年頃になってやっと福田村事件の事が整理されたようだ
もう当時を知る人は90才位になっていた
証言を聴き取りまとめられたようだ
村の自警団からの同調圧力もあり、震災後の恐怖の中で人殺しがまかり通ってしまったことを反省し、正確な記録を残す事が、これからの人たちのためになるものと活動があったそうだ

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