小休止

  こんにちは。 

 と言っても、読む時間帯は人によってまちまちでしょうから、色々言っておきましょう。おはようございます、こんばんは、おやすみなさい。いえいえ、途中で寝たりしないでくださいね。まちまち、って言葉は、なんだか可愛らしいですね。

 そんな話で、貴重な時間を奪ってしまうのは心苦しいので本題に移りましょう。

 さて、今日はとても小説にしたいような素敵な物語の準備があったのですが、それはもう少し私の中でいろいろなことをまとめてからにしたいと思います。それって、ただの、登場人物たちへのラブレターになってしまったりすることが多いから。

「ラブリー」の瑞果や「変色(偏食)の美学」のフジモト先生や、そうそう、「弱く、強く、冷たく、熱く、美しい」の真琴さんも忘れちゃいけませんね。彼女たちはみんな、とっても素敵な心を持っていてそして可愛らしく、芯のある女性たちです。彼女たちは、私が思っている以上のことを話してくれるし、私に大切ないろいろを教えてくれます。例えば、真琴さんの

「だけれど一つだけ気をつけるんだよ。君は弱いものの味方にはなれない。それはもう決まっていることで、もし間違えると大変なことになる。すべての味方にはなってはいけないんだ。君は、強い人たちの味方として、まっすぐ生きていきなさい」

っていうセリフは言われてハッとしたし、だけれど、「ダンシング・ストーン」のジャスミン茶が好きな彼女は多分、いいや、そうじゃないよ、って言うと思う。

「ザクロ色のなみだ」の香織はきっと、とても弱くて、答えをださない拓磨との逢瀬を求めているのに、彼女はなけなしの強さを振り絞って、「終わり」にしようとしている。「熱伝導」の「僕」には理解できない「終わり」があって、鳥好きの「ミヅキ」は先に恋を終えてしまう。

「もう二度と元には戻らないし、新しく始まることもない。タネのない、果実。初めは青くて、それから時間をかけて、ぎゅうっと、甘くなって、奇跡みたいな時間が流れて、その美しい果汁の中に身を浸して、最後は、腐って、何にも、なくなる」

これはミヅキが私に教えてくれた恋の真理の一つで、

拓磨、ごめんね。わたしは君のこと、大好きだし、今日も会えて嬉しかったよ、君は優しいし、君といるととっても癒される気がする。今日の残業なんてなかったような気がして来たし、一人で見るドラマよりずっと面白かった。ほんとに、ありがとう。だけどね。私たち、ここまでだと思うんだ。ここから先も前もない、ここが全てだと思うんだ。

 香織も同じことを言っている。恋じゃない、だけど素敵な何かがそこにある。だけど恋は不可逆だから一度落ちてしまったら元の関係には戻れない。私の中にこれっぽっちもなかったいろいろなことを彼女たちは教えてくれます。

 そう、それで。そのとても素敵な物語(私にはそう思えてならない)をきっと、今書いてしまうと、私はその人に恋をしてしまう気がするのです。私にいろいろなことを教えてくれた他の女性たちほど、(ミヅキや香織や真琴さん)距離を持って私はその人と接することができない気がするのです。まだ、その人の名前さえ、浮かんでこないけれど、多分、その人は犬よりも猫が好きだと思います。

 そんなこんなで、言葉は生きているんだなあと、私は急に思ったのです。自分の物語に言及することはよくないのかもしれませんが、いえ、やめた方がいいのでしょう、この辺にしておきます。

 その猫好きの女の子は私にこう言います。

 自分らしい言葉で話しなよ、人から借りた言葉じゃなく。

 これも、人から借りた言葉みたいな気がします。

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