マレー語ポップスを聴こう!Malaikat

Malaikat

天使
歌:Hazama

Tuhanku Kamu tolonglah hantarkan kepadanya
Malaikat tuk jaganya bila ku tiada
Tunaikan semua permintaannya
Kerna ku cintanya sungguh-sungguh

主よ、あなたの天使を彼女に送り
わたしがいないときにも守ってください
この願いにすべてをかけます
彼女をほんとうに愛していますから

Pagi petang berlumba terkejar-kejar masa
Cuba bina istana tuk hidup bersama
Berkelip-kelip mata paksa diri bekerja
Tapi lebih ku rela lihat senyumanmu

朝から晩まで時間に追われるのは
君と住むための努力なんだ
働き詰めてめまいがするけど
君の笑顔をみるとほっとする
※二段目直訳「ともに住む国をつくるために」

Ini sahaja ku mampu demi menjaga kamu
Ku tambahkan satu doa untuk kamu

君を守る方法は僕にはこれしかない
君のためにひとつの祈りを捧げるよ

Tuhanku Kamu tolonglah hantarkan kepadanya
Malaikat tuk jaganya bila kutiada
Tunaikan semua permitaannya
Kerna ku cintanya sungguh-sungguh

主よ、あなたの天使を彼女に送り
わたしがいないときにも守ってください
この願いにすべてをかけます
彼女をほんとうに愛していますから

Benar ku menyedari kini ku menghadapi
Segala yang ditakdirkan untuk hidupku
Maafkanlah diriku kerna melukakanmu
Terpaksa ku melarang pergi meninggalkan kamu

気が付いてしまったんだ
君と過ごすことが運命なのだと
君を傷つけてしまったことを悔やんでいるよ
もう君とは離れられないんだ

Ini sahaja ku mampu demi menjaga kamu
Ku tambahkan satu doa untuk kamu

君を守る方法は僕にはこれしかない
君のためにひとつの祈りを捧げるよ

Tuhanku Kamu tolonglah hantarkan kepadanya
Malaikat tuk jaganya bila kutiada
Tunaikan semua permitaannya
Kerna ku cintanya sungguh-sungguh

主よ、あなたの天使を彼女に送り
わたしがいないときにも守ってください
この願いにすべてをかけます
彼女をほんとうに愛していますから

コメント

 僕が留学した2016年頃、マレー語ポップスで流行っていた曲のひとつです。MVがいきなりアラビア文字っぽいなにかの文字から始まりますが、よく見てみてください。ラテン文字でMalaikatと書いています。アラビア語かイスラームに精通している方ならわかるかもしれませんが、イスラームの五行六信のひとつ「マラーイカ(天使)」ですね。ちなみに天使(Makaikat)をアラビア文字マレー語(アラビア語)で書くとملائكةです。
 マレー語/インドネシア語のポップスでは信仰に基づいた曲も多々ありますが、この曲はラブソングとイスラーム信仰が合わさったような歌詞です。なにせ曲の出だしがTuhanku Kamu tolonglah(主よ、助けてください・・・)というかなり宗教的な歌詞から始まるので、モスクでサラート(礼拝)をしているときに誰かの携帯電話から流れてしまうという3コマ漫画でネタにされたこともありました。

①「主よ」②「助けてください」③「わたしがいないときにも彼女を守ってくれる天使を送ってください」(Abeben Studioより)礼拝中はむやみに動けないので、曲が流れても胸ポケットのスマホを止めることができず、冷や汗をかく男性と気まずい周囲のようすが笑いどころ。

 この曲を歌っているHazamaは人気の男性歌手のひとりで、俳優活動などもやっているマルチタレントです。日本でいえば福山雅治のような立ち位置でしょうか。少し古いですかね。そういえば彼の名前はHazama Azmi(ハザマ・アズミ)というのですが、日本人の女性にもいそうな名前ですよね。Azmiはマレー語圏でけっこうポピュラーな男性の名前です。

 マレー語を勉強しに来る外国人といえば珍しい存在で、はじめはどれだけマレー語で話しても「どうせ上手くないんでしょ」とすぐに英語に切り替えられたものです。元英領で多言語社会のマレーシアでは大学レベルになるとだいたい皆英語を流暢に話します。僕は関西の大学でインドネシア語を専攻していたときに留学しましたが、インドネシア語とマレー語はおなじ言語とはいえ微妙な違いはネイティブたちに違和感をもたらし「おまえが話しているのインドネシア語じゃないか」と笑いものにもされたことも記憶に残っています。ラグビーチームに入っても僕のマレー語は相手にされず「英語で話したほうが早い」といったかんじで、こうなると会話の練習もくそもありません。

 ショッピングモールに行くと流行りのマレー語の曲がよく軒先から流れていました(言語がおなじなのと芸能界はすぐ越境するのでインドネシア語のものもよく聴きました)。そのうちの一曲で、軽快な明るいこの曲を覚えて口ずさんでみると、マレー人の級友たちも「おまえマレー語の歌知ってるのか」とマレー語で話しかけてくれるようになったのです。歌詞の意味もよくわからずに歌っていましたが、ひとたびマレー語がわかるとなると皆すぐに話しかけてくれるようになり、マレー人の友人らもマレー語ポップスの流行りなどを教えてくれるようになりました。いっしょにショッピングモールに行ったときにも「この曲はインドネシア語だ」とか「これを歌ってる歌手はこのまえ結婚した」とか、当時のマレー語芸能界に多少は詳しくなるきっかけもできたのと、これを曲をきっかけにマレー語が話す機会がだいぶ増えたのも間違いないかなと思います。

 僕はムスリムではなくキリスト教ですが、天使がいるという信仰は(その概念は少し違うものの)同じくしています。誰かに愛されて守ってくださいと言われていたわけではないのですが、曲のタイトルのとおりにマレー語を話すきっかけをくれた天使を遣わしてくれたのもしれないかな、などとぼんやりと思い出したりもする曲の紹介でした。

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