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「ただの伝統芸能ではない」・・・変面の可能性を見た。


「王文強の変面の世界」博品館劇場


「変面」という芸能をご存じの方も多いと思う。
カラフルな面を一瞬で換えるパフォーマンスである。

元々は、中国で400年以上の歴史があると言われる伝統芸能で
京劇と似た伝統演劇「川劇 (せんげき)」でよく使われる技法であるが、
最近では、この川劇の面を換える見せ場だけをショーとして紹介することが多い。


その「変面」を現代的にアレンジしたパフォーマンスがあると聞いたので観劇した。

当初、現代性には余り期待していなかった。
「変面」を生で見られて、その瞬時に換える面の仕掛けの
片鱗でも見られれば良いと思っていた。

そう思わせたのは、以前シンガポールで見た京劇ショーの印象からだった。
この時の模様は改めて記すが、今回のパフォーマンスは、
その偏見を払しょくしてくれた。

「王文強の変面の世界」は、三部構成で
一部が伝統的な変面のショー。
しかし、その後半には、日本人に馴染のあるコメディキャラが登場するなど、新しさにも挑戦している。

二部は舞台衣装と変面を着けた王文強氏が東京の名所を回る記録映像で
心地よい違和感と融合感が楽しい。

三部は、王文強氏による変面を使った独り芝居である。

(*ややネタバレになるのでご覧になる予定がある方は、観劇後にお読みください)

冒頭、王氏は、隈取のような誇張したものではなく、
普通の人間の「仮面」を装着して登場する。

そして普通にセリフを語っていく。
パフォーマンスやショーではなく、本物の独り芝居なのである。

内容は「仮面」を着ける事に悩む男の話。
ストーリーに「変面」で変わる仮面が絡められている。

概念的になりがちな「仮面」というテーマを
実際の仮面を駆使しながら演じることで、
「仮面を被る」という概念を舞台上に結実させている。

それが見事であった。
喜怒哀楽の表現をこのような形で見たのは初めてで楽しかった。

この実際の人間の顔をプリントした仮面を使って、「変面」させるという手法は
まだまだ可能性があると思える。
日本的なキャラクターによる展開も可能であろうし、
この先が楽しみである。

「それにしても、仮面がどうやって変わるのかは分からなかった。
国家秘密らしい。しかしそれだけを考えていては演者に申し訳ない。
詮索はほどほどにされるが良いだろう」

「王文強の変面の世界」は、銀座・博品館劇場で22日まで。


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