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ウイルスのRNAについて

こんばんは。
昨日の記事の補足です。

RNAについて書いていきます。
僕の卒論からの引用です。


インフルエンザの説明から入り、RNAの注釈がつく流れになります。
以下引用

インフルエンザとは

普段私たちが思い浮かべるインフルエンザは高熱が3,4日くらい続くが、すぐに良くなる病気というものだろう。しかし、インフルエンザこそ地球最大の感染症なのである。トリインフルエンザウイルスはトリだけでなく、変異し、ヒトやブタに感染するのである。

日本でスペイン・インフルエンザが流行した際には、ブタが風邪のような症状を示していたこともあり、ブタコレラの疑いさえも持たれた。(『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』106項の1918年7月13日『福岡日日新聞』より)
ヒトやブタからウイルスがさらに変異しイヌやウマにも感染が広まるのである。シベリア出兵の際にはウマの死亡例も相次いだ。(『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』289項より引用)
インフルエンザはRNA(*注釈)しかもっておらず 、自分自身だけでは生きられない。
宿主の細胞機能を利用し、複製を製造することでしか遺伝子を後世に残せない。

*DNAとRNA

DNAはアデニン(A),グアニン(G),シトシン(C),チミン(T)という4種類のヌクレオチドが並んだ塩基配列で、いわば設計図の原本である。二重螺旋構造をしており、片方の鎖は遺伝情報を持ち、もう一方は半保存的複製のために存在している。AとT、GとCが等量関係にある。
例:二重螺旋の片方が ―AGCGTAGCG― という配列ならば、もう一方の配列は        ―TCGCATCGC― という配列になる。

これによりDNA複製の際に転写ミスがあったとしても、もう片方の鎖があるため転写修正が可能となる。
対するRNAはチミン(T)ではなくウラシル(U)がAGCに加わる。DNAを原本とするならばRNAは現場用のコピーと例えることができる。
たんぱく質合成の際、DNAはRNAに変換される。上記の例は合成の際に
 DNA  ―AGCGTAGCG―
mRNA   ―UCGCAUCGC― という形になる。この時、ヌクレオチドが起き変わったり、抜け落ちたり、余分に追加されることで遺伝子の突然変異が発生する。mRNA(伝令RNA)とはDNA情報を写し取ったものである。

インフルエンザがどのような遺伝子を持っているのかというと、DNAは持っていない。代わりにRNAを持っている。このようなウイルスを「レトロウイルス」と呼び、インフルエンザのほかにもAIDSウイルスなどが存在している。私たちヒトならばDNAをRNAに転写し、たんぱく質を合成することで生きている。しかしウイルスたちはRNAからDNAを作り出し、宿主細胞にウイルスのDNAを組み込ませる。宿主細胞の遺伝子にウイルスの遺伝子が書き込まれているので、細胞が分裂する際にウイルスを産出する。これによりウイルスのRNAやたんぱく質が合成され、ウイルスは増殖するのである。

RNAは1本の螺旋構造で、インフルエンザはさらに8本の分節構造を持っている。分節構造なため、遺伝子の交雑が発生し易く、突然変異が起こり易い性質なのである。インフルエンザの突然変異はヒトのそれと比べると1000倍もの高い頻度で発生する。

インフルエンザウイルス(ヒトが主に感染するA型)はHA(以下H)とNA(以下N)という2種類のスパイク状の棘が表面にある。Hは16種類のタイプが、Nは9種類のタイプが存在している。これらの組み合わせで計144種類ある中でインフルエンザの型が決まってくる 。(『強毒性新型インフルエンザの脅威』110項より引用)

スペイン・インフルエンザは1918年以前から流行していたウイルスの「不連続抗原変異」が起こり、(当時では新型)H1N1型インフルエンザであった。史上最悪の被害を出したインフルエンザではあるが、インフルエンザの分類上はいわゆる弱毒性であった。18年~20年にかけてのパンデミックの後、「連続抗原変異」が起き、少しずつ変異しながらH1N1型、スペイン・インフルエンザの子孫が39年間流行する。これは普段私たちが言っている季節性インフルエンザである。その後、H2N2型のアジア風邪が57年に発生、10年間その子孫ウイルスが流行した。68年にH3N2型の香港風邪、77年にはH1N1型のソ連風邪が流行する。新型インフルエンザとは新しい型の発生により流行が始まるものだといえる。

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(『強毒性新型インフルエンザの脅威』116項より引用)

参考文献詳細
○速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ ~人類とウイルスの第一次世界戦争』 藤原書店 2006

○岡田晴恵 編『<増補版> 強毒性新型インフルエンザの脅威』 藤原書店 2009(増補版)

引用終わり

あとがき

少し分かりにくい解説文になってしまい、申し訳ありません。

ざっくり説明すると、RNAは写本であり、増える際は写本にコピーを重ねていく、を繰り返していくイメージです。写本なので、どこかで間違えたとしても修正は効きません。
大きく間違えると不連続抗体変異(新型コロナ)が発生し、小さな間違えだと連続抗体変異(新型コロナの変異)が発生するというわけです。

対するDNAは原本であり、増える際は原本をコピーして、間違えがあれば原本を見直して修正可能であるイメージです。

僕も生物学は学んでないので、正確な表現でないかもしれません。
詳しく知りたい方はぜひ参考文献をご覧ください。

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