近藤芳美賞応募作

第11回目の近藤芳美賞に応募しました。選外でしたが、自分にとって大事な連作になりました。記念にこちらで公開させていただけたらと思います。
15首の連作です。

地球照抱く

なめらかな体毛うすききみの腕半年前よりやせてゐるやう

電話にて声を聞きゐしきみがゐるわれの隣に足を組みつつ

哀しみにやさしさ溶くるまなざしを近く見てをり夏の広場に

樹の幹の静かさにあるひととゐて鼻梁の高き横顔を知る

雑貨店にマグカップ見る日常に使ふ器の話をしつつ

ガチャガチャをきみは回してリュックへとつけたり猫のキーホルダーを

おそろひのキーホルダーに傾けど物にたのめる心を抑ふ

この次に行きたい場所を訊かれをりこれからがあることにおどろく

去りゆける歩調の速しわれとゐてあるけるときは合はせくれたり

あつめたる小石たがひに置くごとく昨日の逢ひを言葉にしをり

好きよりもうれしき言葉きみからの「一緒にゐるととても落ち着く」 

下の名ではじめてきみに呼ばれたり白き花弁のひらくおもひに

食べ物のアレルギーなど訊きくるるきみとこれから行く場所がある

変はらずに敬語で話すきみとわれこの距離感を育てゆくべし

きみのもつ影の部分も知りゆかむ地球照抱くほそき三日月

近藤芳美賞応募作

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