見出し画像

この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第47回]


江南春 礒部晴樹・画


江南春

千里鶯啼緑映紅      千里鶯ないて 緑くれないに映ず
水村山郭酒旗風      水村さんかく しゅきのふう
南朝四百八十寺      南朝 しひゃくはっしんじ
多少楼臺烟雨中      多少のろうだい 煙雨のうち

杜牧

千里のかなた 鶯が啼きわたり 木々の緑に 花の紅が映え
水辺の村も 山の村も 酒屋の旗が 風にゆれている
南朝の 四百八十の寺々が そこここに
いくつかの塔が 春のしっとりとした雨に かすんで見えている

*杜牧の有名な詩です。
春たけなわの情景、緑と花のあざやかな対比、
冬の寒さは去り、夏の暑さはまだ始まっていない、
四季のなかでもっとも初々しい季節。
日本の春は、あと三か月ほどでしょうか。
古典の川のモチーフと古典にはない色彩を組み合わせ、
ちょっとクレー風の絵にまとめてみました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?