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自分を保つセルフマネジメントー敏感な人が人生を変える方法(はじめに)

1 敏感な人は生きづらい

 「周囲のことばかり考えて、自分のことが後回しになる」、「自己主張が上手く出来ない」、「自分の意見がないと上司から怒られる」、「つい頑張りすぎて、仕事を抱え込んでしまいパンクしてしまう」、「人間関係に振り回されて、集中出来ない」
 このような悩みをもつ皆さんは、周囲の人の気持ちや環境に敏感な方ではないでしょうか。
 最近では、敏感で繊細な人のことが「HSP(Highly Sensitive Person)(とても敏感な人)」と呼ばれていますね。

 敏感で繊細な人は、その気質ゆえに周囲のことが気になり上手く立ち回れません。そして、自信を失い生きづらさを感じてしまうのです。
 「この生きづらさを何とかしたい。もっと自信をもって行動できるようになりたい。」と思いませんか?

2 敏感な人でも大丈夫

 私は金融機関の人事部門で長年職場の沢山の人と対話し、様々な悩みに向き合ってきました。
 そこで感じるのは積極的な人、アピールが巧みな人、声が大きく行動的な人はチャンスをつかみやすいということです。
 逆に、たとえ優秀な人でも、周囲に影響され自分を見失い消極的になっていると、たちまちチャンスを逃してしまうという現実です。
 この現実では、消極的になりやすい敏感な人は不利になりがちです。結果が出ないので、敏感な人は更に生きづらさを感じてしまうのでしょう。
 しかし実はこの敏感な人の生きづらさは、ある心の仕組みと関係しています。
 この心の仕組みを知り対処すれば、自然に自分に自信が持てるようになります。
 そして、自分の気持ちに正直に、積極的に行動出来るようになるのです。
 結果として、敏感な人の長所、誠実さ、共感力、観察眼、本質を見極める力が発揮され、大きな成果を上げることができるでしょう。

3 敏感な人がもつべきスキル

 私は、敏感な人が大きな成果を上げていくのをたくさん見てきました。

 例えば、部下として一緒に仕事をしたAさん。女性総合職として入社後、支店、本社など様々な部門で勤務。それぞれで成果をあげ、どの部門でも一目おかれる存在でした。
 彼女と一緒に仕事して感じるたは、落ち込んでも大きく引きずらない「しなやかさ」でした。だからこそ、彼女の特徴である視野の広さやきめ細やかさが際立ちます。
 この「しなやかさ」のもとは、彼女が等身大の自分を理解してところにあります。自分を過大にも過小にも見ていない、等身大。だから大きく落ち込まないのです。

 もうひとりは、私が師匠として尊敬するB部長です。
 豪快に突き進む胆力がありながら、周囲にきめ細かい心配りができる。全体を見渡す視野の広さと細やかさ、そして行動力を持ち合わせている希有な方です。
 私が注目したのは部長の朝の習慣です。早足(ものすごく速い!!)での通勤、決まった時刻に会社に到着し、事前にチェック済みのニュースの分析、私が入れる関連情報と併せて自部門の立ち位置を確認、次の打ち手の仮説をつくる。このプロセスは毎日変わりません。この朝の習慣で、自分の戦闘体制を整えておられるように見えました。
 良質な意思決定と自信をもった行動は、習慣から生まれるんだと感じました。

 二人は、環境の変化に右往左往せず自分の特徴を十二分に発揮しています。でも、これはその人の性格だから出来たのではなく、あるスキルを身につけて実践しているからなのです。
 そして私自身も、敏感な気質ゆえに生きづらさを抱えてきました。何とか生きづらさを克服したい。そう考え、試行錯誤してきました。
 この、私が試行錯誤してきた実践知をベースに、見てきた人たちの行動様式、そしてメンタルヘルスの知見を集約し今回紹介するのが「自分を保つセルフマネジメント」なのです。

4 「自分を保つセルフマネジメント」とは?

 それでは「自分を保つセルフマネジメント」とは何なのでしょうか。

 「自分を保つセルフマネジメント」の「自分を保つ」とは、「環境に左右されない自分をつくる」という意味です。
 心が反応し、混乱しても冷静に元に戻せるようになるのです。
 心が反応し、混乱し冷静でいられなくなるのは、心身が疲れて余裕がない時です。
 そんな時に「自分を保つ行動」を日常生活に取り入れます。そしてそれを習慣にするのです。
 無意識に「自分を保つ行動」を行えるようになるのです。
 そうすると段々と心が反応し、振り回されることがなくなります。何事にも冷静に対処出来るメンタルが身につくのです。

 自分を保てると、どんな良い事があるのでしょうか?
 周囲の環境、例えば人間関係、家庭、仕事環境に影響されることが少なくなります。やるべきことに集中できるようになります。
 自分を保つことができると、行動に一貫性が感じられ、自信が生まれます。生まれた自信は、自分の中から生まれた揺るぎないものです。安定した自分がつくられてきます。

 自分を保つことは、人間関係にもいい影響を与えます。
 自分を保てると、周囲をもっと観察できます。そして自信をもって自分の考えを相手に伝えることができます。
 周囲の環境に働きかけることができるのです。そうすれば、周囲がコントロール可能なものに変わり、更に自分を保ちやすくなります。

 悪循環になっている現状を、良い循環に変わります。
 こうして人生が変わるのです。

5 「自分を整えるを習慣に」と「仕組みを知る」

 これからお伝えする「自分を保つセルフマネジメント」は二部からなります。
 ひとつは「自分を整えるを習慣にする方法」
 もうひとつは「敏感さの仕組みを知る」です。

 まずは「自分を整えるを習慣にする」です。
 敏感に反応してしまうメンタルを変える方法をご紹介します。
 自分を保つために、心身を「整える行動」を習慣にするのです。
 「整える行動」には3つの種類があります。一つ目は「身体を整える」、二つ目は「環境を整える」、三つ目は「感情を整える」。
 整える行動を習慣にして、周囲の環境に右往左往しないメンタルを手に入れるのです。

 次は「仕組みを知る」です。
 自分の心身を整える行動が、何故敏感に反応してしまうメンタルを変えることが出来るのか?それを解き明かします。

 実は、周囲に敏感に反応してしまい悪循環におちいる原因は、周囲に注意を向けすぎるために、自分をいたわることが疎かになるためです。
 自分を十分にいたわり心身に余裕をつくることで、敏感な人の力は最大限に発揮できます。
 習慣という無意識の力をつかって強制的に自分をいたわり、敏感な人のパフォーマンスを最大限に発揮させるのが「自分を保つセルフマネジメント」の本質です。
 その仕組みを「仕組みを知る」では詳しく書いています。
 心身の仕組みを知れば、自分の気質がより理解でき、より自分に自信がもてます。

 是非読んで、人生をかえてください。

注意:「自分を保つセルフマネジメント」は、心理学、認知行動療法の知見をベースにつくられたものですが、あくまで心身が健康な方のための手法として提示しています。
 現在心身、特に心に不調を感じている方は、速やかに専門医に相談されることを強くお勧めします。

(更新履歴)
 
2022.8.2 本文改訂に伴い一部修正しました。
 2020.4.10 「はじめに」を全面改訂しました。
 2019.9.16 新規公開しました。


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元金融機関人事の私が見てきた成果をあげる人の行動、メンタルヘルスの知見などを元にまとめたスキルです。多くの人の役に立てれば嬉しいです。

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