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人生で大切なことを教えてくれた西麻布にあるワインバーの話。

しばらく会えていなかった友人と、ひさしぶりに飲もうという話になった。コロナ禍ですっかり自宅にいる時間が長くなった私たちは、ともにワインにハマっていた。この日も一緒にワインを飲もうということになり、西麻布にあるワインバーを予約した。グラスワインが充実しているだけでなく、質の高いフランス料理をアラカルトで注文できるという謳い文句が決め手になった。

フルコースで提供されるようなフランス料理店なら、先に料理を決めて、それから料理に合わせてワインをチョイスする。しかし、この日はあくまでワインバーということで、先にワインを決めて、それからワインに合う料理をアラカルトで選ぶことにした。二人とも1杯目にブルゴーニュの白ワインを注文し、いよいよ料理のメニューを開く。

いい年をしたオッサン2人が、ほぼ同時に「うわあ……」という感嘆の声を漏らした。ワインバーという、あくまで「ワイン」がメインの店であるはずなのに、そこに並ぶメニューはどれも魅力的で、思わず「注文するまで10分ください」と言いたくなるほどだった。

見ているだけで幸せな気持ちになれるメニューを眺めていると、各メニューの冒頭に別の店名が記載されてることに気づかされた。

広尾「○○○」の特製ローストビーフ
西麻布「○○○」の牛トリッパのトマト煮込み
日本橋「○○○」三田牛のハンバーグカレー

といった具合だ。どれも聞いたことのある名店ばかり。一体、なぜ西麻布のワインバーで有名店の料理が食べられるのだろう。ただ黙ってメニューをパクっているとは思えないので、各店舗と正式にコラボしているのだろうか。しかし、そんなことをして協力店舗にどんなメリットがあるのだろう。

私たちは思いきって店主に聞いてみることにした。

——いろんな店舗さんのお料理が食べられて、すごくいい企画ですね。

「それが、じつはワケありでして……」

店主は、困ったような笑顔を浮かべて、そう言った。

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