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【事業承継を妨げる落とし穴】

開業率も低いが、廃業率も低い。
日本の特徴ではありますが、今後さらに人工不足が進むと廃業率は上がらざるを得ないのではないでしょうか。
そうなると、ものづくりに代表される日本の資産がどんどん減っていく。
国を支える中小企業の減少は、イコール国の衰退を招く。
そんなふうに感じています。

そして、たとえ後継者ができたとしても、円滑に引き継げるとは限りません。
スムーズに事業を引き継げなければ会社の持続性にも影響がでます。
先代が築いたものを後継者の代で食いつぶす。
さらに企業数が減るという負のスパイラル。

なぜ、事業がうまくバトンタッチできないケースがでるのか?
一言で言えば、先代と後継者の意地の張り合いではないでしょうか。
先代が創業者の場合、自分がゼロから創り上げたという自負があります。
一方後継者には、オヤジの代のやり方では現実に合わないという不満があります。
これでぶつかり合う。

この結果、どうなるか?
先代は後継者に対していろいろと口をだすため、全権を任せない。
それが不満の後継者と対立します。
親子なので、社員の目の前でも言い争いがはじまることがあります。
両者の言い分が違うので、社員はどちらの指示に従えばよいのか困惑します。たまったものではないですね。

山の中で霧が出ていれば迷いやすいですね。

組織のベクトルが統一できず、社内がまとまらない。
どちらかの顔色をみて仕事をすることになります。
こういう状態は会社を弱体化させます。
ここをクリアせずに事業承継という仕組みの部分だけ進めても、形だけの表面的な継承になってしまいます。

じゃあ、ここを解決する方法はあるのか?
すべてにあてはまるわけではないですが、ある程度解消することはできます。
この場合、後継者が折れることです。

道なき道を切り開いてきた先代には強烈な自尊心があります。
そこを曲げるのは至難のわざ。
しかも、道なきところに道をつくるのは後継者にはできないこと。

だから、ここは素直に認める。
「元々は道のないところに道をつくってここまでやってこれたのはオヤジのおかげ。これは本当にスゴいことだと思う。そこは自分にはできないことだから素直に尊敬するよ」
「ただし、今はいろいろ複雑化しているので時代に即した形に合わせていかないと立ち行かない。オヤジの精神を受け継ぎながら今流のやり方で進めていくので全面的に任せてくれないか
状況によっては「もしそれができないならば、自分は後継者を降りるよ」と言えるくらいの覚悟は決めておいたほうがよいかもしれません。

経営を動かす原動力として、愛と勇気と情熱ははずせません。
ド真剣に向き合わないと成就できないものです。
先代にも後継者にも任せる覚悟とやり切る気概が必要。

オヤジの足跡を理解するには創業時代からの苦労話を聴かないと具体的にはわかりません。
子どもからは言い出しにくいもの。
でも、親は誰かに話したくてウズウズしています。
そこを取りもつのは外部の第三者のほうが具合がいいです。
先代の苦労話と後継者の決意を一緒になって聴く。酒でも酌み交わしながら「……」

システムに沿った承継に入る前に、感情がからみあった糸をときほぐすこと。
最優先課題は、表ざたになるやり方より感情に根ざしたあり方にあります。







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