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day 22|AIとアート (1)

AIが生成したコンテンツは、社会に受け入れられるのか?

生成AIの発展により、誰でも手軽にクオリティの高いコンテンツをつくれるようになってきており、今後さらに、社会のなかでAI生成コンテンツが使われるようになっていくと考えられます。

最近の例だと、日本コカ・コーラが、画像生成AIを活用したオリジナルのクリスマスカードを作成できるwebサイトを公開しています。


「AIが生成するアートは、アートなのか」

この観点について論じているエッセイがあるので、今回はそれについて触れてみたいと思います。


Art, Creativity, and the Potential of
Artificial Intelligence


AIアートを判別できない人間

著者が行った実験では、AICANという画像生成AIが作成したアート画像と、人間のアーティストが制作したアート作品を閲覧したところ、被験者の75%がAI生成のアート画像を人間によるアート作品であると誤解しました。これは、AIのアート画像が人間のアート作品に比べて遜色ないものであることを示唆しており、AIのアート画像が一定のレベルに達していると言えます。

Our study showed that human subjects could not tell whether the art was made by a human artist or by the machine
Seventy-five percent of the time, people in our study thought the AICAN generated images were created by a human artist.
In the case of the baseline abstract expressionist set, 85% of the time subjects thought the art was by human artists.
Our subjects even described the AICAN-generated images using words such as “intentional”, “having visual structure”, “inspiring”, and “communicative” at the same levels as the human-created art.

私たちの研究では、人間の被験者がそのアートが人間のアーティストによって作られたものか、機械によって作られたものかを区別できないことがわかりました。
私たちの研究に参加した人々の75%は、AICANが生成した画像が人間のアーティストによって作られたと思っていました。
抽象表現主義の基準セットの場合、被験者は85%の確率でそのアートが人間のアーティストによるものだと思いました。
私たちの被験者は、AICANが生成した画像について、「意図的」「視覚的構造を持つ」「刺激的」「コミュニケーション的」といった言葉を、人間が作成したアートと同じレベルで説明していました。


AIの作品はアートではない?

人間の場合は、アーティストが自分の経験や感情、価値観をアートとして表現し、鑑賞者がそれを感じ取って自分なりに理解・洞察し、お互いにとって豊かな経験へとつながります。AIにはそのような感覚がなく、作品を制作することそのものがプロセスの全てとなりますが、だからといって「アートとして捉えられない」というわけではないと著者は述べています。むしろ、従来のアートやアーティストに対する考え方を変え、AIアートもアートの1種であると受け入れることで、アートの概念が広がります。

Humans and AI do not share all of the same sources of inspiration or intentions for art making.
Why the machine makes art is intrinsically different; its motivation is that of being tasked with the problem of making art, and its intention is to fulfill that task.
However, we are asking everyone to consider that a different process of creation does not disqualify the results of the process as a viable work of art.
Instead consider that without the necessity of the individual expressive artist in our definition of art, how we conceptualizeart and art making is greatly expanded.

人間とAIは、アート制作のためのインスピレーションや意図をすべて共有しているわけではありません。
機械がアートを作る理由は本質的に異なります。その動機はアート作成という問題に取り組むことであり、その意図はその任務を果たすことです。
しかし、私たちは皆に、創作のプロセスが異なるからといって、そのプロセスの結果が有効なアート作品として資格を失うわけではないことを考慮してもらいたいのです。
むしろ、アートの定義において個々の表現的なアーティストの必要性を排除することで、アートとアート制作の概念が大きく広がることを考えてみてください。

AIアートの優位性

エッセイでは、画像を生成するアルゴリズムに特徴のついて言及しています。人間のアーティストは、自分の道具を使ってアート作品を制作します。一方で、AIはアルゴリズムによって画像を生成しますが、このアルゴリズムをアート制作の手段と位置付けるならば、機能の異なる”筆”とも言えます。AIが使う”筆”は人間のそれとは異なる特徴を有しており、その特徴を生かしたアート作品を創り出すことができます。

Certainly, artists learn over time and with experience how to better use their tools, and their tools have a role in the physical actions by which they make
work in paint.
However, the paintbrush does not have the capacity to change, it does not makedecisions based on past painting experiences, and it is not trained to learn from data.
Algorithms contain all of those possibilities.

確かに、アーティストは時間と経験を経て、自分の道具をより良く使いこなす方法を学んでいきますし、彼らの道具は絵画を作るための物理的な行動において役割を果たします。
しかし、絵筆には変化する能力はなく、過去の絵画経験に基づいて決定を下すことはできませんし、データから学ぶために訓練されているわけでもありません。
アルゴリズムには、それらすべての可能性が含まれています。

パートナーシップとしてのAI

アートの重要な点として、「社会的な相互作用を生む」ことについて言及しています。AIが生成する画像も社会的な相互作用を生むと考えられるので、インスピレーションやプロセスや人間のアート作品と違えど、AIアートもアートとして成立するのではないでしょうか。また、AIと協働して作品をつくることで、新たな創造性が生み出される可能性があります。

As Hertzmann notes in his article and Cohen discovered in his work with
the AARON program, human artists bring capacity for high-quality work, artistic intent, creativity, and growth/change over time.
Art is a social interaction.
Actually, we think we can argue that AI does a fair amount of this, and it can certainly all be accomplished in a creative partnership between and artist and his or her AI system.


Hertzmannが彼の記事で指摘しているように、そしてCohenがAARONプログラムとの仕事で発見したように、人間のアーティストは高品質な作品、芸術的な意図、創造性、そして時間と共に成長や変化する能力を持っています。
芸術は社会的な相互作用です。
実際、AIもこれらのかなりの部分を行っていると私たちは主張できると思いますし、アーティストと彼または彼女のAIシステムとの間の創造的なパートナーシップで、これらすべてが確実に達成されることができます。


今回は、AIが生成するアートをアートして捉えてよいのか、という問いに関するエッセイについてレビューしました。制作のインスピレーションやプロセスについて人間とAIとで異なる部分はあるが、制作した作品が社会的な相互作用を生み出すという点では共通するので、AIアートもアートのひとつであると著者は伝えていました。

引き続き、AIアートに関する情報を調べてみたいと思います。

参考文献

Marian Mazzone, A. Elgammal. 2019. Art, Creativity, and the Potential of Artificial Intelligence.


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