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2022年シーズンもWRCでタイトルを!!

明けましておめでとうございます。
トヨタWRCチームで働く山下です。
2021年シーズンは1994年依頼の3冠タイトル(マニュファクチャラー・ドライバー・コドライバー)という素晴らしい結果でした。WRCはF1など多くのモータースポーツに比べてシーズン開始が早く第1戦モンテカルロ1/20-23日に開幕します。

ラリー大好きってファン以外は、やはりF1を中心としたカレンダーだと思いますが、F1のシーズンオフ中はWRCも見てもらえると嬉しいです。

(1) 新車の変更点とチームの状況

2022年シーズンのWRCにはラリー1規定が導入され、昨年から新車両を各チームが開発しています。車両規定に関しては色々変更されていますが、個人的な注目点を3つに絞ると下記になります。

・パワートレインがハイブリットとなる(HVモーター出力: 最大100kW)
・100%カーボンニュートラル燃料の導入 (1.6L直噴ターボは継続)
・電子制御の禁止 (アクティブセンターデフとパドルシフトの廃止)

ハイブリットが導入されたラリー1車両はモーターを使う走行 (EV走行)も可能です。イベント中にはEV走行を義務付けるセクションも導入されます。
また、FIA直下のカテゴリでは最初にカーボンニュートラル燃料を導入します。明らかに従来のガソリン燃料とは成分が変わるのでエンジン屋さんには新たな挑戦です (水素エンジンに近いかもしれません)。

また、テクノロジー面で進化していないので個人的には賛同しかねるのですが、上記変更に伴うコスト増対策として、一部の電子制御が制限されました。結果的にドライバーの運転技量が勝敗に直結しやすくなるはずです。

開発車両やチームの様子は上記のビデオで見れます。カッコ良いのでぜひ見てください。

ドライバーは昨年ドライバータイトルを獲得したセバスチャン・オジェはフル参戦しないことが決まっており、同じシートをエサペッカ・ラッピがシェアします。

僕は昨年、ラリーフィンランドにスポット参戦したラッピ車両をサポートしました。個人的には勝手に応援しています。
他ドライバーは昨年から同様のラインナップとなり強力な布陣だと思います。

年末年始の休暇中も働いている同僚も多いです。
あと少しでモンテカルロ、チームの準備も最終段階に入りました!

(2) ライバルの状況

(2-1) ヒュンダイ

最大のライバルであるHyundaiですが、2021年最終モンツァの後に、開発テスト用車両をさらにアップデートしてきました。Youtubeなどで動画は見つかりますが、あまり情報がない気がします。

ドライバーは引き続きレギュラードライバーとして、ティエリー・ヌービルとオット・タナックが継続となり、3台目をダニソルドとオリバー・ソルベルグがシェアします。新車に対するタナックのコメントも非常にポジティブだったようで手強そうです。

(2-2) Mスポーツ・フォードWRT

もう一つのライバルであるMスポーツですが、WRCの最高峰カテゴリに参戦する3メーカーの中で一番最初にラリー1車両をテストしました。昨シーズンはトヨタとヒュンダイが最終戦までマニュファクチャラータイトル獲得を争っており、開発リソースを新型車に割くのに苦労していたと思います。一方でフォードはタイトルの可能性が早々に消えたので、新型車両の開発に注力できたのかもしれません。

おそらく第1戦モンテカルロでは生き残ったドライバー、車両が勝利すると思います。その観点では車両開発の成熟度が高そうで、昨年速さを見せていたエイドリアン・フルモーをレギュラードライバーとして迎え入れたMスポーツはかなりの強敵だと思います。

また9回の王者に輝いたセバスチャン・ローブがMスポーツからモンテカルロに参戦するようで、こちらも楽しみです。

(3)まとめ

テスト車両の準備もあり、あっという間に新年になってしまいました。
こんなに年末まで働いたのは久しぶりな気がします。
WRCはオフシーズンが短いのが泣きどころな気もします 笑

一方でチーム加入当初から僕もテストに帯同し、進化を見てきた新型車両の実戦デビューには個人的にもワクワクしています。
今年はラリー本番車両にも触れる機会も増えそうです。

良い結果が出せるよう&少しでもチームに貢献できるように頑張ろうと思います!

読んでいただきありがとうございました。
スキやフォロー頂ければ嬉しいです。

自動運転とモータースポーツのテクノロジーについての記事を書きます! 未来に繋がるモータースポーツを創りたいです!