宏川露之

ユキニフルというグループで歌詞や小説を書いています。HP→https://yukini…

宏川露之

ユキニフルというグループで歌詞や小説を書いています。HP→https://yukinifuru.com/ 小説『ラプソディ・トゥ・アクト』(執筆中)→https://kakuyomu.jp/works/1177354054895475611

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ユキニフル『キミらしく生きて』

    • 【現代の幸福論】時間の感覚を距離に委ねるということ

      よく言われる話で、「歳をとればとるほど、1年間が短くなっていく」という言葉がある。「50歳の自分」にとって1年の長さはこれまでの人生の50分の1だが、「10歳の少年だった自分」にとっては人生の10分の1に相当する、というわけだ。 この考えは19世紀フランスの哲学者ポール・ジャネが発案したことから、<ジャネの法則>と呼ばれるものらしい。誰だって、歳を取るにつれて主観的な時間の価値はインフレを起こし、薄れていくのだ。(にもかかわらず人生の残り時間は減っていく) よく聞く話だとは

      • ありえたかもしれない別世界の自分の行動もまた、この世界の自分の一部であるということ

        人の「その人らしさ」を規定するのは、その人のとった選択の積み重ねによるもの。それでも人はときに自分自身が選んだささいな行動に失望し、自分というものを見失うことがある。 多くの人が抱えるであろうそんな悩みを、SFの世界で、ある種鮮やかに解消しているエピソード(作中では決して良い例として登場しているわけではないのだが)に出会ったのでそれについて書こうと思う。 テッド・チャンの『息吹』に収録されている『不安は自由のめまい』という短編にその場面は描かれている。 作品世界を構成する

        • 一番格好いい自己紹介とルーツについて

          初めての投稿ということで自己紹介をしようと思う。 ところで、僕がこれまでに見た自己紹介の中で一番格好いいと感じたのは、福本伸行の漫画『銀と金』に出てくるものだ。 「名前は森田鉄雄──背景はない……!」 日本有数のボンボンたちに賭金の多寡を競う青天井のポーカーで勝利し、「どこの企業の息子か」と聞かれたときの答え。 憧れると同時に、なかなかこうは答えられないなとも思う。 『銀と金』の森田鉄雄は、まさに彼が言うように、物語内では、彼自身の背景はほとんどと言っていいほど描かれない

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