見出し画像

【不問サシ劇】セイフティー

[人物紹介]

私(ボク) ←不問1
女性がやるなら 私
男性がやるなら ボク
10代後半~20代
純粋な感じ
※ナレーションが多いが、そこはお許し願いたい

ゴッド←不問1
年齢、性別不明
落ち着いた感じの大人
執事やメイドっぽい雰囲気

1人読み朗読台本 【短編小説】セイフティーを声劇台本に書き直したものです。
よろしければ短編小説のほうも読んでみてください

━━━━━━━━━━━━━━━

私(ボク):
「ついに ついに…ここまで来た…ここまで来て怯(おび)えているのか…」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私(ボク)ナレーション:
両親の最後のことは
脳裏に こびりついている

父は、後部座席で 私(ボク)に
覆(おお)いかぶさりながら

「怖くない大丈夫だいじょうぶ
神がお前を加護してくれる」
と言った

母は、肌に離さずつけていた十字架のネックレスを 私(ボク)に手渡しながら

「アナタは私達の光り
光りの子の未来に栄光あれ」
と言った

二人とも 私(ボク)を怖がらせないように笑顔で…笑顔で天国へ旅立った

忘れられない記憶


ゴッド ナレーション:
幼かった お嬢(坊ちゃん)を
叔父にあたるワタクシのご主人様が
引き取られワタクシに託したのです

忙しかった ご主人様に代わりワタクシは、時に母のように優しく、時に父のように厳しく接しました


私(ボク)ナレーション:
彼とも彼女とも言えない容姿
穏やかな眼差し
心地いい声

両親が言っていた神とは
この人のことだと思い込んだ

信頼できる 唯一の存在
神そのものだった
私(ボク)にとっては…

いつしか信頼は愛情に変わっていた
私(ボク)はゴッドに恋をしていた


ゴッド ナレーション:
いつしかワタクシも
お嬢(坊ちゃん)のことを愛するように…

家族愛ではなく
性別をこえ
年齢をこえた愛


私(ボク)ナレーション:  
あの日交わした契り

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ゴッド:
「待っていましたよ…お嬢(坊ちゃん)」

私(ボク):
「えっ!!どうしてゴッドがっ!?」

ゴッド:
「なにが起きてるのかわからないって顔ですね」

私(ボク):
「なんで…ゴッドが…ここに居るの…」


私(ボク)ナレーション:
私(ボク)は、やっとの思いで
叔父の悪行の証拠を手に入れ
両親の かたきを討つ為に
叔父を呼び出していたのだ


ゴッド:
「ワタクシはアナタの世話役である前に、ご主人様の右腕ですからね」

私(ボク):
「ゴッドが…父と母を殺したのっ!?
叔父の命令でっ!!」

ゴッド:
「なんども言わせないでください
ワタクシは ご主人様の右腕です

ご主人様の邪魔となるモノは排除いたします!!
それがワタクシの本来の役目」

私(ボク):
「今度は、私(ボク)が邪魔になったって言うの?」

ゴッド:
「それが、ご主人様の望みですので」

私(ボク):
「そんな…そんな…
私(ボク)のこと愛してなかったの!?
ねえっ!!」

ゴッド:
「一人の人間として…愛してはいけない相手を真剣に愛してしまいました…」 ←(ボソボソ小声で)

私(ボク):
「はっきり答えてよ!!ゴッド!!」

ゴッド:
「……さぁ、アナタの御心(みこころ)のままに…」

私(ボク):
「お願い!!嘘だと言って…
お願い…お願い…お願いっ!!」


カチっ ←引き金を引く効果音

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ゴッド:
「セイフティーレバーを外さないと撃てませんよ」


私(ボク)ナレーション:
鈍(にぶ)い金属音を鳴らしてゴッドは
セイフティーレバーを外す
そして、銃口を自分の額(ひたい)に当てた

ゴッド:
「ほらコレでアナタにも撃てるでしょ!?」

私(ボク):
「なにしてるの?ゴッド…」

ゴッド:
「銃に慣れていないアナタでも
大丈夫ですよね? 撃てますよね!!」

私(ボク):
「はぁっ…はぁっ…」←(息遣い荒く)

ゴッド:
「アナタを愛しています」


私(ボク)ナレーション:
私(ボク)はブルブルと震え
銃を持っていられなくなり
落としかけた

ゴッドは私(ボク)の手を支えるように
包み、私(ボク)の指に自分の指を重ねるようにしながら引き金を引いた


バーーーーンっ!!←拳銃の効果音


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私(ボク)ナレーション:
指や手のひら 腕にズシッと伝わる
重みと反動

むせるような火薬の匂い


私(ボク):「ゴッドーーー!!(泣)」


私(ボク)ナレーション:
私(ボク)の腕の中でゴッドは
穏やかな微笑みを浮かべたまま
死んだ…

私(ボク)の愛する人は
信じた人は
『神』だった
私(ボク)にとっては神そのものだった

両親が死に際に言っていた神は
腕の中にいる 人間の姿をした
この『神』だ

もし両親が熱心に信仰していた神がいるのならば、存在するのならば
なぜ 両親を見殺しにした!?

なぜ 私(ボク)が愛した人が死ななければならないんだ!?

なぜ こんな仕打ちをするのだ!?

…なぜ なぜ なぜ…

神が存在するのなら いま現れてみろっ!!
私(ボク)が『光りの子』と言うのなら
いまこそチカラを表す時だろがっ!!

どうして どうして どうして…

母からの形見の十字架を
かなぐり捨て叫んだ


私(ボク):
「私(ボク)は、愛する人を奪った神を許さない!!」


ゴッド ナレーション:
光りの子と言われ愛された
ひとりの人間は この時

黒光りする人の容姿をした
化け物と化したのだった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?