屋外の詩
駅前の派手なラブホテル
看板が中学の窓から見えるの
ずいぶん古くてせっかくライトが仕込まれた看板は夜になっても光らない その下で客室の薄ぼんやりした明かりが点いたり消えたりしているだけなの
強固な愛を信じてました 不変の愛が 普遍なものだと 信じてました
ラブホテルが壊された
夢のようなシャンデリアの残骸が 鉄骨や屑の中で少しだけ息をしている
塾帰りのわたしはそこで副担任の若い 綺麗な女の先生が蹲って泣いているのを 見てしまって 見てしまったの
強固な愛を信じてました 不変の愛が普遍なものだと 信じてました
多分わたしだけじゃなく 先生も
町の怪物が死んだ夜でした 静かなのにやたら騒がしくて 既にもう壊れてしまったはずの 熱 ばかりのさけびが きっとまだ愛を知らない私に何か言っている
けれど
それがなんなのかわたしにはまだ分かりません 分かりません
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