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映画「ひらいて」感想(ネタバレあり)

 2021年11月に見てきたものの、Twitterに投稿した感想です。


  「ひらいて」
 やっと見てきましたが大号泣しちゃいました恥ずかしい…これは恋愛映画かつ愛ちゃんの成長譚。恋愛映画かつ成長譚なんて映画はたくさんあるのですがここまで成長の過程が泥臭く恥ずかしく他人に迷惑かけまくるみっともない映画そんなにないと思うしそこが良かったです。
 首藤凛監督の作品は、21世紀の女の子の短編「I wanna be your cat」しか拝見していないのですがこの監督さん、女の人の所謂みっともない姿の描き方がすごく上手い方なのだと思います。みっともねぇと思いながらも何故かその姿を観客は愛してしまうし応援すらしたくなる。今回の「ひらいて」も扱う女の子のタイプは違えどそのパワーがすごく出ていたと感じます。
 みんなの前で仮面を被り、いざとなったら自分のために他人を冷酷に切り捨てる(クラスメイトの男子の告白を断るシーン等)、まさに自分のことしか考えず我慢はできない愛ちゃんが、美雪とたとえの関係を知ってからはまあ仮面が見破られるわずるむけになるわ、怖いわみっともないわの極み。そしてこのまま育ったいく先が、きっとたとえの父親なのでしょう(分かりやすい仮面と、自分のことしか考えない冷酷さ。愛ちゃんの部屋が荒れた様子とたとえの父親が荒らした部屋。「逃がさない」の言葉。分かりやすい)。
 ただ、美雪やたとえの前で仮面が瓦解し、自分の醜さや酷さと否が応にも向き合わなきゃいけなくなった愛はどうするか?たとえの父親、つまり自分に「こっち向け!」と言って殴り、かつての醜かった自分とたとえが作った折り鶴の桜の木を蹴り上げる。そこを見たたとえから、祝福が与えられる(あのスローモーションのシーン)。
 そして、卒業式の日、美雪からの手紙を読んだ愛ちゃんはきっと目に光を宿して美雪の元へ向かったのでしょう。
 原作だと、たとえに表題のことを言って終わりだったような気がするのですが(高校生の時の記憶なので正しさに担保なし!)、今作では監督の作品のある言葉で締め括られておりました。
 原作はとにかくこの3人の不思議な関係性に胸を痛め切ないという感情を持ち読了した自分なのですが、映画になるとそれがさらに増した上で謎の爽快感さえあり、ただし泣くという不思議現象が巻き起こりました。最近あまり映画は見てないのですが(「オトッペ劇場版」は見た)、無責任にも近年稀に見る青春映画だったのではないかなと思います。
 そして、大森靖子さんの主題歌がエンドロールで流れる。あと何か足りないものある?ない。

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