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vol.7〈高野・グランドゴルフ同好会〉−日常の一部ですわ

 高台にある香春町総合運動公園の一角から 「コツン」と、心地のよい乾いた音が聞こえてきます。初夏の日差しが眩しいグラウンド、カラフルな旗を囲んで沢山の方達がグラウンドゴルフに夢中になっています。

このコツンって音もいいっちゃんね

 「もうかれこれ40年近く前になるかな、田川でグラウンドゴルフをしよる人達がおってね、楽しそうやないかって思って自分も真似てみたんよ。実際にすごく楽しくてね、そっからずっとやっとるね。」そう話すのは御年99歳の満井さん。近所にある空き地やセメント工場のグラウンドの一部を借りて始めたグラウンドゴルフ、ある程度の場所さえあれば出来る手軽さや、シンプルなルールも魅力のひとつだといいます。
 帽子のツバに手をかけ、クラブを力一杯振りぬいたボールが真っ直ぐ転がると「ナイスショット!」周りからも思わず声が出ます。
 「99歳の今でもトップになる事がしょっちゅうなんよ。狙いが狂わないんからすごいわよね。」と本田さん。グラウンドゴルフの腕もさることながら、何よりも楽しそうにプレーをしている満井さんの姿が周りの人たちを笑顔にしてくれるといいます。
 少人数で始めたグラウンドゴルフですが、今では多い時で20名以上集まります。平均年齢は83歳を超え、75歳が最若手というチームですが、田川郡の大会で何度も優勝した事もあるという実力者揃いです。

長いことやっているけど全く飽きないんよね

 「私は陶芸教室に通ってたらお友達に誘ってもらってね、それで始めたんよ。体動かすのが好きで楽しくてね、私が先に入って今度は旦那を誘ったの。今ではね、この人の方が熱心になっちゃってね。」と話すのは伊藤マサ子さん。以前から夫婦で一緒になって楽しめる事を探していたところグラウンドゴルフに出会ったといいます。
 「とても良い趣味に出会えた」という夫の伊藤重弘さんはグラウンドゴルフを始めて13年、人当たりがよく面倒見が良いことから今ではこの会の会長を務めます。「単純にね、人が集まって一緒の事に熱中するのが楽しいよね。色んな人と話す事なんかも出来るからね。」と重弘さん。ゲーム合間の休憩時間になり座談会が始まると「そうそう、こういうこと。」と言わんばかりに重弘さんは微笑み、スコアカードを見ながらどこか嬉しそうな表情を浮かべます。

ナイスショット!!
ホールインワンせな帰れんばい。かみさんに怒られるわ笑
注:ホールインワン賞で景品がもらえます

”一人でしよった時もあるけど、今は沢山いて嬉しいね”

 健康のため、遊びの延長、それぞれ目的は違えど「なんだか楽しい」と全員が同じ言葉を口にします。「気軽に来れるんがまたいいんよね。」そんな福田さんもまた紹介から始まって夢中になった一人。お話好きだという福田さんはグラウンドゴルフ以外のこともここで色々教えて貰ったといいます。
 夫婦で参加される方や、黙々と練習をされる方、おしゃべりに一生懸命になる方まで様々です。週5日の練習に毎日来る方もいて、その光景はまるで部活の様にも感じます。「スポーツをして健康、そして笑う事も健康にいいんよ。ここに来たら全部叶うやん、やけ人が集まるんよ。」と平岡さん。
 帰り間際に「明日も晴れやね。」という声が聞こえてきます。その台詞は、明日もまたここで集まろう、という合言葉なのかもしれません。

老若男女やろ? あ、若は無いか、老男女やん笑
高野・グランドゴルフ同好会の皆様


旧勾金小エリア・高野周辺
 グランドゴルフのメンバーが集まる香春町総合運動公園のある、旧勾金小エリア。義務教育学校「香春思永館」やJR香春駅、香春町役場など町内の主要な施設が集まっています。
 なかでも高野周辺は人口も多く、上高野・下高野に分かれており、地域の住民がさまざまな活動をしています。

香春町って
 春が香る町と書いて「香春町」。福岡県の筑豊地域の北東部に位置し、石灰石の産地として日本の近代化を支えてきました。
 町のシンボル「香春岳」をはじめ、山々に囲まれた里山の暮らしは、都心部からのアクセスの良さもあって、登山好きや、歴史好き、手作り暮らし好き、半農半X志望者などさまざまな個性を惹きつけます。

(アクセス:福岡市から約70分、北九州・小倉から約50分)

ハダシノステージ07・2023年夏号





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