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ブランドイメージの構築とともにリスクは増えていく

ブランディングによって売上を伸ばすことは、ブランド毀損による売上ダウンのリスクをも同時に増やしている。つまり、炎上などによって簡単に経営危機を迎えるよということだ。ここでいうブランドとは、情緒的価値による競争優位の源泉を指す。

機能的価値で選ばれている商品やサービスはブランドイメージがいくら落ちようが売上にはあまり響かない。セブンイレブンは24時間営業問題やセブンペイ事件が起きて、いくら炎上しようとも売上が大幅に落ちることは無かった。炎上したのちにセブンに行かなくなった人がいるだろうか?これはセブンイレブンという存在の利便性によって選ばれているからである。決してセブンイレブンは「環境に配慮したコンビニ」とか「先進的でイケてる」とか「セブンを利用している人はおしゃれ」などといった情緒的価値で選ばれていない。セブンを利用するのは純粋に「コンビニ飯なのに美味しい」「コーヒーが美味い」などといった機能的価値によるものである。


一方で洋服や時計、財布などの商品はそのブランドが持つ世界観やイメージによって買うものを選ぶことが多いだろう。これはそういったファッション系の商品がスペックや機能で選ばれていないことを示している。なぜそういうことになるのかというと、その商品において市場に出回っているもののほとんどが消費者の機能的満足度を満たしているからだ。この状態が市場のコモディティ化であり、この中で競争をするにはイメージによってでしか差異を生み出すことが出来ない。なのでこういった商品カテゴリーで市場活動を行なっている商品はブランドイメージの影響を如実に受けやすい。ファッションブランドの不買運動が起きるのは、人々のその商品カテゴリーに対する購買活動の判断基準を表していると言える。

イメージ先行で売り上げを伸ばそうとする行為は非常に危険である。イメージを構築していくのは機能的価値の裏付けや訴求のためにやらなければならない。やはり企業にとって大事なのはその商品がもつ機能や品質による差別化であり、世界観による差別化ではない。世界観による差別化は無意味ではないが、それに心酔してしまうと簡単に足元を掬われかねない。

なので世界観を重視している系の商品やサービスを扱っている企業は常に、もしこの世界観を排除しても顧客に選ばれるだろうか?というのを頭に入れておかなければならない。

沈黙は金、雄弁は銀

本当に価値あるものは熱心な演説をしなくても選ばれる。そこを目指していかなければ生き残ることはできない。売り上げが伸び悩んでいるからといって安易に世界観だのブランドだのに走ってはならない。まずは自分たちの商品が本当に機能と品質において顧客を満足させることができているのかどうか。本質的な価値あるものを生み出すことに執着すべきだ。


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