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俳句「冴返る」

箒にて掃き出す塵や冴返る

 姉の助けがなければ、とてもここまで母と共に暮らせなかった。介護とは、「介(たす)け・護(まも)る」こと。在宅よりも施設のほうが、より母を介け護ることになるなら、施設に任すのも介護だと言えよう。ただ、私の場合は母と暮らしたくて在宅介護をしているので、介け護られているのは、むしろ私のほうかも知れない。実は介護という語を遣うのにも抵抗があったのだが、わが家の介護は、母と介け合い護り合うこと、そう考えるようになって、素直に遣えるようになった。

 ただ、姉弟の介護にも時に温度差が生じる。そんな時は姉がかける掃除機の音が自分を責めているように聞こえたりする。つらくなって、姉の見ていない時にそっと箒をつかう。

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