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短歌「世界の見え方」

蟻の目に映る世界は知るべくもなけれど母のそを知らるれば

『認知症世界の歩き方』(ライツ社)という本に出会って、いままで疑問に思っていたことのいくつかに示唆が得られた。例えば、姉や私の世界の見え方と母の世界の見え方にはずれが生じている場合があるらしい。物の見え方が違うのなら、理解できない言動をとることも納得できる。あるいは、ときどき母にかじられるテディベアは、母の目にはパンに見えているのかも知れない。
 蟻には人間はとてつもない巨大生物に見えるのだろうか? それとも全体像など見えておらず目の前に壁が立ちふさがっているような感覚だろうか? もし、いまの母の目に映っている世界が私に分かったら、少なくともいまよりよい介護ができると思うのだが……。

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