「米研ぎ」を変えるだけで、ごはんは簡単においしくなる

ごはんの仕事をしていると「おいしいごはん炊くためには何に気をつけたらいい?」と聞かれることがとても多いです。

おいしいごはんを炊くための要素はいくつかあり、どれも大事なのですが、優先順位をつけるとしたら

1.お米の保存 → 2.研ぎ方・吸水 → 3.炊飯 → 4.品種

と答えます。

多くの人たちは「おいしいごはん=おいしいお米(品種)」と考えがちなんですが、いくらおいしい品種でも扱い次第で簡単においしくなくなるんです。というわけで、ごはんのおいしさを左右するお米の保存方法と研ぎ方についてまとめてみようと思います。

お米の保存場所は「冷蔵庫」がべスト

お米が苦手なのは、酸素・高温・湿気のある環境。なので、できるだけ冷たいところに密閉して保存するとおいしさを長く保てます。

お米は乾物の仲間と考えがちですが、精米した白米は鮮度が命。生鮮食品と考えてみてください。保存状態が悪いとすぐに味や食感などの品質が劣化します。お米を買うときは必ず精米日が新しいものをチェック。

ベストな保存方法は、密閉できるビニール袋か容器に移し替えて冷蔵庫に入れておくことです。

ここでやりがちな失敗は、スーパーなどで売っているビニール製の米袋のまま冷蔵庫にしまってしまうこと。このビニール製の米袋は酸素や湿気を通しちゃう素材なんで、米袋ごと、密閉できるジッパーバッグに入れてから冷蔵庫で保存ね。

お米が大量にありすぎて冷蔵庫に入りきらないというときは、直近で食べる分だけ冷蔵庫に移し、残りは密閉して湿気の少ないキッチン以外の場所に保管です。(とはいっても、家族が多いとなかなか難しいですよね。。。)

間違ってもシンクの下なんかに置いちゃだめですよ。シンク下は酸素・高温・湿気がそろったお米の保存に最も適さない場所です。急いで移してー!

お米は生鮮食品。精米した瞬間から味は落ちる

お米は精米すると、その時点から品質の劣化が始まります。

お米は、外側から順に、
・籾殻
・種皮
・果皮
・胚芽
・糊粉層
・胚乳(でんぷん層)
というような層状になっているんですが、いわゆる糠というのは、種皮と果皮と糊粉層のこと。

玄米は、稲の籾から一番外側の籾殻のみを剥がしたもの。白米は、玄米からさらに種皮と果皮、胚芽を剥がしたもののことをいいます。白米は丸裸のようなもので、外からのいろんな刺激を受けやすい状態なんです。

まとめると、こんな感じです。

籾  =胚乳(でんぷん層)+糊粉層+胚芽+果皮+種皮+籾殻
玄米 =胚乳(でんぷん層)+糊粉層+胚芽+果皮+種皮
白米 =胚乳(でんぷん層)+糊粉層
無洗米=
胚乳(でんぷん層)

お米が苦手なのは、酸素・高温・湿気のある環境とお話しましたが、まず、酸素について。白米が劣化するのは、外側にある糊粉層(こふんそう)が酸素に触れると分解が始まるためです。

古米独特のにおいはこの酸化によるもの。お米の表面に白い粉状のものがみえ始めたら酸化が進んでる合図です。白米の酸化は温度が高くなると活発になりますから、高温もNG。

酸素に触れないように密閉して保存すれば、劣化が緩やかになりますが止まるわけではありません。一番良いのは、劣化が進む前に食べ切ること。目安として精米日から2週間以内に食べ切れる量をこまめに購入するのがおすすめです。特売だからといって米の大量買いはやめようね。

次に、湿気。湿気が多い場所に保管して白米の含水率が増えると、カビが発生しやすくなります。だからといって、乾燥したところに置いておくと割れやすくなって、ふっくらと炊けなくなります。

丸裸な状態の白米は、においも移りやすくなるので、強いにおいのもののそばに置いておくのもよくないです。そういう点でも密閉は必須。

玄米は、白米に比べて劣化が少ないんだけれど、それでも保存場所の温度があがったり湿度が高くなると、玄米の呼吸が活発になって、でんぷんなどの栄養素が消耗されてしまい食味が悪くなります。玄米だからといって過信は禁物ですよ。

無洗米は、特殊な方法で外側にある糊粉層(こふんそう)まで剥がした状態のもの。糊粉層がないから実は白米よりも劣化がゆるやかです。それでも保存は、密閉した状態で冷蔵庫がよいと思います。

米同士をこすり合わせて、糠(ぬか)をはがす

おいしいお米も簡単に手に入るし、炊飯器は性能が飛躍的に向上しているので、ごはんの炊きあがりに大きく差がつくのは研ぎ方と吸水です。

白米は、精米して糠がほとんど取り除かれていますが、それでもでんぷん層の表面には糊粉層が残っています。で、お話したとおり糊粉層は時間とともに劣化してしまうんで、おいしいごはんを炊くためには糊粉層を取り除くことが必要です。これが米研ぎの目的。

最近は精米技術が上がってきたので米は洗うだけでいいという話も聞きますが、洗うだけでは劣化した糊粉層は取り除けないので、おいしいごはんを炊きたいならしっかり研ぐとよいです。

だからといって、手のひらでぎゅっぎゅっと押しつけて研ぐ方法はお米が割れてしまってよくないのでやめてね。

研いでいるうちに、お米は糠くさい研ぎ水をどんどん吸収してしまいます。お米が最初に水に触れたらそこからはとにかく素早く、かつ、ていねいに。目安として3分以内に研ぎ終わるように心がけてください。

では、研ぎ方について順を追って説明します。用意するのはボウルとザル。そして白米です。

1.米を計量する
米専用の計量カップに入れたお米は箸などですり切って計ります。カップの場合、多少の誤差がどうしても出てしまうんで、できれば料理用のはかりで計ると完璧です。米1合は150gです。

2.米を洗う
米の表面の汚れを取るために米を洗います。あらかじめ水を張ったボウルを用意して、そこに米を一気に入れて軽くひとまわし。さっと洗ってすぐに水を捨てます。

お米は水に触れた瞬間から水を吸い始めるので、汚れた水に触れている時間をできるだけ短く。この一番最初の水は浄水器の水やミネラルウォーターを使ったほうよいかもしれません。

3.米を研ぐ(1回目)
指先をソフトボールを握るぐらいの大きさに開き、水を切った状態でお米をシャカシャカと大きくかきまわして研ぎます。回す回数の目安は10~20回。米同士をこすり合わせて摩擦の力で表面の糊粉層を剥がすイメージです。そんなに力を入れる必要はありませんよ。

3.すすぐ(1回目)
水を注いで、濁った水を捨てます。白く濁った水をよくみてみると、水面に白い粉状の粒子が浮かんでいるのですが、これが米研ぎで剥がれた糊粉層です。水を切るときにザルを下に置いておくと米粒がこぼれ落ちても安心です。

4.米を研ぐ(2回目)
もう一度、水を切った状態でお米をシャカシャカと10~20回ほど大きくかきまわして研ぎます。

5.すすぐ(2回目)
水を注いで、濁った水を捨てます。この状態で米がうっすらと透けるぐらい白く濁っていても大丈夫です。

水が完全に透明になるまですすがなきゃ、と思っている人もいますが、それではすすぎ過ぎ。においが気になったり、白い粒子がまだ浮いてるようだったら、もう一回研ぎ~すすぎを繰り返してください。

6.すすぐ(3回目)
最後にもう一度水を注いで、濁った水を捨て、米をザルにあげて水を切ります。ザルにあげたお米をそのまま放置しておくと、乾燥して割れやすくなります。20~30秒ほど置いて水を切ったら、すぐに炊飯器に移しましょう。

これで米研ぎはおしまいです。

「ボウルにザルを沈めて、そのなかで米を研げば水切りが簡単じゃん!」という話もありますが、金網のザルのなかで米を研ぐと、必要以上に米が傷つくのでおすすめできません。米が割れたり、でんぷんが流れやすくなるからね。プラスチック製のザルならOKです。

「炊飯器の内釜で研げば簡単じゃん!」という話もありますが、これだと水切りが不十分なんですよ。米の表面には意外と水分が残っているので。ザルにあげて20~30秒ほどおくと、汚れた余分な水分が滴り落ちてきます。しっかり水を切ってから、きれいな水を加えて炊いてあげるとよいです。

「水が冷たいのでお湯で研ぐねー」も避けたほうがよいです。お湯で研ぐと、お米のなかのでんぷんが酵素の働きによって変化し始めて、うまみが逃げてしまいます。お米を研ぐときは必ず冷たい水で研ぎましょう。

あらためて大事なのは、水を切ってから研ぐこと。

でないと米同士の摩擦が生まれず、劣化した糠(糊粉層)を剥がしきれないです。

米研ぎから終わったら吸水です。炊飯器の場合は、内釜に移し、必要量の水を加えてすぐに炊いてください。吸水は炊飯器が自動的にやってくれます。

鍋炊きの場合は、事前に吸水の時間が必要です。目安としては30分から1時間くらい。時間はかかりますが、水温が低いほどしっかりと吸水するので、冷蔵庫に2時間ぐらい入れておくとベストです。

お米が吸水されたかどうかは、米に爪を立てて力を入れてボロっと崩れるかどうか。米が真っ白になって簡単に砕けるようであれば吸水は完了です。

一生使える「米研ぎ」のルール

まとめます。

1.お米を買うときは、必ず精米日が新しいものをチェック。
2.お米が苦手なのは、酸素・高温・湿気のある環境。
3.お米は、密閉して冷蔵庫で保存がベスト。
4.米研ぎは、手早く3分以内に冷水で研ぐ。お湯はNG。
5.米研ぎは、水を切って米同士をこすり合わせて研ぐ。
6.水を入れるタイミングは4回。(洗い~すすぎ~すすぎ~すすぎ)
7.研いだ米は、しっかりと吸水させる。

お米の保存方法や研ぎ方なんて、普段気にすることなんてほとんどないかと思うんですけれど、これを変えるだけでQOL爆上がりです。ホントだよ。

(2019/01/13 追記)
たくさんの方々がこの記事を読んでいただけているようで、とてもうれしいです。

私は、料理家の妻、しらいのりことともに「ごはん同盟」という炊飯系フードユニットを結成して、炊飯ワークショップや料理教室を開催したり、雑誌を中心にレシピを発表したりと、ごはんにまつわるさまざまな活動をしています。

Facebookでも活動の情報を発信していますので、よろしかったらフォローしてくださいませー。

(2019/01/19 追記)
記事を公開して以来「米研ぎ変えたら劇的にごはんがおいしくなった!」という声を各所からいただいて本望です。友人、知人、見ず知らずの方まで生活習慣に影響を与えることができるとか、つまり、noteすごい!インターネットすごいすごい!

「水切りがやっぱり面倒だねー」という方には、こういう米研ぎグッズもあるので使ってみてください。とても便利ですよ。


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コメント6件

>料理人 心之助さん
読んでくださってありがとうございます!
吸水後の冷蔵保存について、そのまま炊いておいしければ問題ありません。ただ、長時間保存すると炊きあがりがやわらかくなりすぎる傾向があるので、過信は禁物ですね。できるだけ早めに炊いてあげるのがよいと思います。
タメになるnoteをありがとうございます。
お米も冷蔵保存が必要だとは、知りませんでした。

それから、僕は、料理にほとんど詳しくないある友人に「米は研がなくていいんだ! すすぐだけでいいんだ!」と言われて、ずっとそれを真に受けていました。
これからは、シライさんに教えていただいた研ぎ方を実践してみます。

お米は毎日食べるからこそ、美味しく炊くことができればQOL上昇しますよね!
>ミヤザワヤマト さん
読んでくださってありがとうございます!
ほんのちょっとのことを気をつけるだけで、まったくおいしさが変わってしまうのがお米のすごいところ。ぜひぜひ楽しいごはんライフを満喫してください!
>山田スイッチ さん
読んでくださってありがとうございます!
吸水具合や炊き方次第で、自分好みのごはんに仕上げるのも楽しいですね。
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