#ありがとうを、酌みかわそう
日本酒はうんちくなんていらない、楽しむもの
新潟市の成人式に配布する「日本酒ちょびっと事典」を
「越乃寒梅」の石本酒造の依頼で作らせていただいた。
日本酒のうんちくというより、楽しみ方や
和菓子とのペアリングなど、主に楽しみ方を紹介したもの。
いいねえ、こういうの作りたかったのよ。
いっつも酵母なんちゃらとか、最新醸造機器ばっかり追いかけてるから。
これを読んだら、絶対に日本酒ラブになる。
だってお勉強より、楽しむ方法がいっぱい書いてあるから。
さすが「日本酒県」の新潟。
そしてさすが「越乃寒梅」の石本酒造。
こういう企画に呼んでもらって、ホントに嬉しい。
成人式に配布されたのは「日本酒ちょびっと事典」の他、
ピンクのフロストボトル(ミニサイズ)の「越乃寒梅」。
だが、「おや?」と思うノーラベル。
よくよく説明を見ると、添付されたラベルから自分好みのものを選び出し、
それを貼り付けるという粋なスタイルだった。
「ありがとう」を酌みかわしたい相手のことを考えて瓶のラベルを選び、
両面に貼り付けることで完成する「2枚ラベルの日本酒」。用意された16種類のステッカー型ラベルには、後を振り返らずただ前だけを見て駆け抜けた新成人の後姿、そして、それを後からそっと見守り、新成人を支えた恩師や両親の後姿が描かれている。コチラより引用。
私が選んだのは、父親と思わしき人物が海辺に立っているラベルと、
同じく海辺で晴れ着を着ている女性のラベル。
亡き父、そして若き日の自分をイメージしてラベルを選んだ。
もう今となっては父に「ありがとう」を伝えることはできないし、
お酒を酌みかわすなんて二度とできない。
だが姿はなくとも、心の中で思えば、いつでも「乾杯」できるんだなと思った。
ただし、父は下戸だったけれど。
下戸の両親のもとに生まれた娘は、今こうして酒の仕事に従事し、
日本酒や本格焼酎の楽しさを伝えている。
父はどんな顔をして天国から見ているのだろう?
そういえば亡くなった当日、病院の看護士さんらに自著をあげていた。
自慢に思ってくれていたんだね、お父さん。
ありがとう。
あれからもう16年という歳月が流れ、ベストセラーと呼べる
代表作も出すことができた。
もし今、父が生きていたら照れながら自慢してくれたに違いない。
手のひらサイズの「日本酒ちょびっと事典」は持ち歩いていたかもね。
お酒が飲めなかった父と「さしで飲む」ことはかなわなかったけど、
あっちの世界に行ったら、何でもアリだったりして。
美人の天使に囲まれ、べろべろになったりしてない、お父さん?
モテたものね、生きている時も。
私はまだしばらくこっちの世界でがんばるからお父さんとは会えないけど、
いつかそっちで会えた時は、お酒を酌み交わせたらいいな。
急にあっちに逝ってしまったから、きちんと「ありがとう」を伝えられなかった。
お父さんもそうだよね?
きっと最期に「ありがとう」って私に言いたかったんだよね?
言わなくても伝わっているけれど。
ありがとうを、酌みかわそう。
いつか、きっと、必ず。
今は姿こそ見えないけれど。
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