男女ツインボーカルブーム到来?

 2021年前後、男女ツインボーカルの曲を個人的に聴きまくった記憶がある。

 たとえば、メジャーどころでいえばAwesome City Clubの「勿忘」がヒットしていた。
 別にそれを真似てというわけではないだろうが、なんとなくこの1、2年の間でそうしたバンドがじわりと人気になってきている気がする。それを勝手に、"ツインボーカルブーム"と呼んでいる。

 ツインボーカルといえばある種の"掛け合い"みたいなのがあるのが魅力だ。場合によっては一曲の中で男女別々の視点で物語を展開できるのも面白い。

 これまでも、アーティスト同士のコラボでツインボーカルになっていることは多かった。例えば鈴木雅之と菊池桃子「渋谷で5時」など。個人には、古い洋楽だがマーヴィン・ゲイが「Ain't No Mountain High Enough」でタミー・テレルとデュエットしたのが好きだったな。

 基本的な編成をツインボーカルとしているバンドのなかで、私が好きなものをいくつか紹介する。

Penthouse

 東大のサークル出身という6人組。もともとはYouTubeにカバー曲などをアップしていた。
 「シティソウル」を自称したジャンルレスなサウンドが特徴。ジャズやR&Bなどに影響を受けた、軽快で骨のあるグルーヴ感に浪岡真太郎、大島真帆の2人のパワフルでソウルフルな歌声が重なる。
 かてぃんこと角野隼斗が奏でる、クラシックに裏付けされたテクニカルなピアノも聴きどころだ。

「26時10分」「単焦点」もおすすめ。
3月22日に1stフルアルバム「Balcony」をリリースする。

Cody・Lee(李)

 この曲はこのギターのイントロ聴いた時点で「おっ、好き」ってなった。サビ前のカッティングには痺れる。YMOをパロった?みたいなPVもネタに溢れていて必見。

ボーカルは高橋響と尾崎リノ。
他の楽曲では、下北沢や小田急線沿いを具体的に描いたりもする。オシャレ(=抽象的)な歌詞が好まれがちな昨今では珍しいなとも思う。
 「異星人と熱帯夜」「悶々」など、若者の絶妙に"満たされない"感情がリアルに描かれている。

ゴホウビ

 「自分肯定型タウンポップ」を自称するバンド。ボーカルはcodyとスージー。
 個人的に、4つ打ちならなんでも喜んで聴いてしまうというのもあるのだが、ポップで多幸感に溢れ「渋谷系」っぽさも感じられる。
ある種の懐かしさも覚えるサウンドは、きっと淡い色をしているのだろう。
「僕のリモコン返して」「ゴキゲンなLOVER」なども。

フレンズ

 2015年に結成した、渋谷区神泉発「神泉系」を自称するバンド。ボーカルはおかもとえみ、長島涼平、三浦太郎。
 昨今のネオシティポップブームの先駆け的なバンドであったと思う。おかもとの力強い歌声はもちろんだが、ポップとオシャレ系を行き来するようなグルーヴ感も特長だ。
 近年、ヒット曲がなく少し寂しい。なんとなく、バンド名と曲名が埋もれてしまっているような。「NIGHT TOWN」「iをyou」などもおすすめ。

Awesome City Club

 「勿忘」のおかげで知名度は広まったものの、その後ヒットがなく、なんとなく一発屋的な空気になっているのが悔しい。
 どちらかというと、アップテンポでダンサブルな曲が多いイメージだった。打ち込みが多く、キラキラ系ネオシティポップといったところである。ボーカルはPORIN、atagi。

「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」「アンビバレンス」など、2018年前後にサブスクで聴きまくったなぁ。

ツインボーカルブームは続くか

こんな感じで、2010年代後半から今に至るまで男女ツインボーカルのバンドが相次いで現れたのだ。理由はよくわからない。ほかにも、今回は触れなかったが「ヤバいTシャツ屋さん」とかも人気になっている。

 ハモらせるだけな場合もあるし、掛け合いもある。これ、ある意味で昭和歌謡的なデュエットの復活なのだろうか。

ほかにもツインボーカルのバンドでオススメがあったら是非教えていただきたい。

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