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もったり

娘がキッチンに立って、ゴソゴソやり出した。
午後九時。多分、ケーキでも焼くのだろう。
明日は本当に久しぶりに彼女のお友達が家に遊びに来る予定だ。

ねえ、ママ、もったりってどのくらい?
もったり…口で説明するのは難しい。もったりねえ。
タブレットを引き寄せて、写真で見せる。このくらい。
日本語は感覚的な言葉が多いから、外国で育ちで日本語を話す彼女は戸惑うことも多い。

家の二人の子供達はほぼバイリンガルだと思う。そして、二人ともほぼ二重人格だとも思う。上の子は日本語で話している時はチャラ男。英語で話している時は思慮深い優等生。下の子は日本語で話している時は大人しく、英語で話している時は今時のJK。

言語がその人の人格まで変えてしまうって面白い。今まで色々探ってきたけれど、二重人格の原因は謎に包まれたまま。下の子のASL(アメリカン サイン ランゲージ)の先生も言語に興味があるらしく、色々質問されたらしい。娘はASLを含めて3カ国語を使う訳だが、心の境目はどこに有るんだろう。そして、第三の人格もある?のだろうか。

私は残念ながら「もったり」は英語で表現できない。色んな引き出しを開けて見るけど、私の英語の引き出しには「もったり」にピッタリする言葉は無いし、これからも見つからないと思う。母国語ってそう言う物じゃあないだろうか。ピッタリの言葉をいつでも見つけて、表現出来ること。

家の二人の母国語は何語だろう。どの人格が本当の子供達なのかな。私の母国語は日本語。日本語は本当に美しい言葉だと思う。私が伝えたい思いを、思う通りに伝えられる言語。二人の子供達には自分が伝えたい思いを、思う通りに伝えらる言葉を持っているだろうか?自分の中に自分の核を持つことができていますように。その核こそが彼らの力となり、生きてゆく源になると思うから。





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