映画レビュー(20)「009 RE:CYBORG」

本当の人類の敵とは

(2013年 10月 21日 「読書記録゛(どくしょきろぐ)」掲載)

 サイボーグ009が連載されたとき、私は小学2年生ぐらいだった記憶がある。その後、高校2年の時に、見よう見まねでマンガを描くようになった時、未完のままの「天使編」に出会い、この作品の価値を再発見した。ちょうど「マンガ少年」という月刊雑誌が朝日ソノラマから発刊され、マンガやストーリーを創作しようという若者の間で話題になったころである。
ということで、009にはちょっとうるさい俺なのだが、このアニメには感心した。
 未完の「天使編」「神々との戦い編」をこう解釈したかと感心したのだ。作者もこれならうれしいだろうなと思う。
 冷戦時代に生まれたサイボーグ戦士たちが、冷戦終了後にその役割を終えている現実がいい。そして、911以後の世界で、人類が直面する敵は、人類自身の心の中にあったということが極めて優れた表現で語られる。
 まさに、中東をはじめとする現代のテロとの戦いは、心の中の「憎しみ」が原因である。その相手に対する、「憎しみ」の心こそが、人類を滅ぼそうとする「敵」ではないのか。この「感情」は生物として当然のものであり、ある意味、造物主から与えられたものである。それに抗うと言うことこそ「神々との戦い」ではないのかと。
 原作当時、地球環境に対する人間の驕りに対する、神罰的な意味であったろう「神からの戦い」は、現代では、「神からの試練」へと解釈を変えたのだ。
 この映画のラストは、初期シリーズの伝説的なラストに対するオマージュになっている。いい年をした親父の俺が、少年時代に読んだ感動を思い出して、ちょっぴり涙腺が緩んだよ。
 みんなに見てほしい映画である

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