余炎(7首)

街の燃える日を背景にわたくしはあなたの兄でいようと思う

灰色の熊をまなこに飼っている眠り過ぎると喰われるような

だって赤い文房具屋で買うペンで蜻蛉よ嘘はつけないでしょう

炎について書かれた歌をきいているあなたの傷の底にいるママ

ドア越しに呪詛を投げればあれは熊、あれは熊だよ、気がつかないで

桑の実で口をよごして永遠とまちがえそうな風のない昼

なにが守られていたのだろう燃え落ちたビニルハウスの骨を見ていた



「かばん」2023年11月号掲載分です。



連作のタイトルは組み終わった後につけるほうです。たまに軸になる数首が揃ったときにつけて、そのまま採用することもあるけど。

連作を書きはじめるときって、

①軸の1首〜5首をストックから選ぶ
┗その歌ができたときに(これを軸に連作をつくろう!)と思うこともわりとあるのでそういうのを拾います

②ログライン(おおまかなあらすじとか舞台、人物の設定)をつくる
(けどガチガチにストーリーを決めているわけではなく単語とか「こういう雰囲気で!」とか書いてることが多くて連作つくる途中に参考にならなさすぎて何度も凹む)

③目標数になるように作る、あるいはストックから引いてくる、必要があれば推敲する

こんな感じです。
本当は50首連作なら100首とか作って編集したり短冊を並べ替えたりするのに憧れているんですけど……たぶんむりです。50首なら、最終的にはだいたい55首くらいを捏ね回してまとめている気がします。

「余炎」って潔いタイトル自分にしてはめずらしいな、みたいなことを書こうと思ったのに連作のおぼえがきメモになっちゃった…。自分の連作はカタカナ語のタイトルが多くてなんか並べたときにちょっと恥ずかしいです。

⌚️
そういえば連作への感想で一番嬉しかったの、短歌専門外のオタク(敬意)から「自分の推しCPぽい」と言ってもらえたやつかもしれない。
わたしも推し全員にイメージソングとかを決めているタイプのオタクなので、自分の作品が誰かの推しにとっての"それ"になれたんだ……みたいな感動がありました。

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