見出し画像

有楽町線への愛が止まらない

有楽町線と私の関係はいわば腐れ縁。かれこれ7年も有楽町線を使っている。7年といえば、おぎゃあと生まれた赤ん坊も小学生になって2年目を迎えようかという年月である。
ううむ、これは長い。
それなのに私はこの線のことについて何一つ思いを巡らせたことはない。

これはあれか。ラブコメ系の設定にありがちな、幼馴染の可愛らしさに全く気が付かない鈍感系主人公というヤツであろうか。
いや、そんなキャッキャウフフな何かではない。もっと、こうハードコア系の、それもガッチガチの鉄筋系設定だ。無機物の極みといった感じであろうか。

そんな無機物なカンケイの中で思い出、と言われても正直何も出ないが、唯一、朝のラッシュ時でも比較的空いているということが印象深い(今は東上線との直通があるため別段空いているという訳ではないが)。
まあなんともひねり出したような回答で、「本当に愛が止まらないの?」などとの疑問を持たれるかもしれないが、そんなことはない。本当に愛が止まらないのである。

まず、この線の"可愛らしさ"(というべきかは分からないが)を紹介させて頂こう。

山手線との乗換駅が微妙
そう、微妙なのである。
乗換駅と言われてどこを思い浮かべるだろうか。
新宿、渋谷、品川、東京、秋葉原、池袋…
殆どのメトロの線はこれらの大きな駅のどこかを通る。
有楽町線はどうだろう。池袋をまず通る。OKだ。もう十分メトロの他の線の土俵に立てているではないか。他は?そう山手線は円を描いている。そのため大概のメトロが山手線と二つの駅で交わるのである。
もう一つは…そう、有楽町である。うーん、どうして隣の東京、新橋のどちらかに出来なかったのか。
しかもどちらも歩いて繰り出せる範囲。何故銀座一丁目と桜田門をほぼ直線でつないだところに路線を通してしまったのか。
ただ、一つの街として有楽町は申し分ないくらい良い街だ。買い物も、食べ物も、街並みも、本当に程よい雰囲気である。新橋ほどサラリーマンに肩を寄せるでもなく、東京駅ほどエリート感を匂わせるでもなく、本当に等身大の街なのだ。
そういうことか。この街を知って欲しかったから、ここに通したんだな。「不便だ」なんて言われても、「私はそんなありがちなところなんてどうでもいいの」というところが何とも尖っていてオツなものである。

中央総武線との乗換駅も微妙
そう、またしても微妙なのだ。JRと有楽町線が人間だったとしたらまさしく犬猿の仲なのであろう。(犬も猿も人間ではないが)
さて、中央総武線との乗換駅と言われてどこを思い浮かべるか。
中野、新宿、四谷、市谷、飯田橋、御茶ノ水、秋葉原…であろうか。
なんと今回はそのうち2つの駅と接続している。やるではないか、有楽町線!
しかし、ここで悲報である。乗換駅は市谷、飯田橋。どちらも各駅停車である。しかも有楽町線でも、中央総武線でも隣り合った駅なのだ。え、これ、別にどちらか一駅でいいよね?
どうしてそこは律儀にJRに合わせたのか。
ただこれもどちらも素晴らしい駅なのである。
飯田橋は神楽坂が近い(ただし行ったことはない)。
そして市谷は釣り堀である。あそこは都会にあるオアシスだ。それはそれはとてつもなくのんびりとした時間が流れている。
これも全て有楽町線の思し召し。先にも述べたように「不便だ」という言葉には屈しない。それどころかその不便を埋めて有り余るほどのオアシスを提供してくれるのだ。
「え?楽園なら私が連れて行ってあげるよ」
ああ、もう可愛いではない。”尊い”である。

乗り換えが何故か長い
有楽町線でよく使う乗換駅は?
と問われれば、「池袋、飯田橋、市谷、永田町、有楽町」だと思う。
何とこのうち2つが駅名が変わってしまうパターンである(永田町→赤坂見附、有楽町→日比谷)。
それ以外も池袋は丸ノ内線と副都心線に乗り換えようものなら、あの雑多とした駅構内を長々と歩かされるし、飯田橋も東西線との乗り換えは苦痛である。まだマシな市谷も都営新宿線とはそこそこの距離がある。
乗り換え案内アプリで「乗り換え」という文字が出てきた時、「こんなに乗り換えに時間かからないけど」と思うことが大半だと思う。
しかしそれを裏切るのがこの有楽町線。もうみんなからハブられているんじゃないかと思うレベルである。
いやむしろ孤高を貫いているのではなかろうか。
「私は馴れ合いなんてしないわ。」
何というミステリアスさ!そういうところに惹かれてしまう!!

有名な都市伝説の舞台
有楽町線、軍事利用説。おや?と思われた方は路線図を見ながら見てほしい。
直通運転をしている東上線からは「朝霞(朝霞駐屯地)」、有楽町線内は「平和台(練馬駐屯地)」「市谷(防衛省)」「永田町(国会議事堂)」「豊洲(海上自衛隊施設)」「新木場(ヘリポート)」と見事に東京の防衛施設をなぞるように走っている。
これだけでロマンが溢れ出る。しかも「有楽町線は有事の際に戦車が通る」なんていうトンデモ系の噂もある。
だが、こうした日常に寄り添う地下鉄が、時と場合によっては秘密基地めいたものに変貌するなんて、男心をくすぐらないだろうか。
絶対嘘だってことは分かる。まあ分かるのだが、それでもこんな男のロマンが溢れ出る線に乗ってることすらもうシアワセを感じざるを得ない。
「私って結構みんながやってないようなことやってるんだよね…え、ミリタリー系だよ!」
ああ、もう手放せないぞ、有楽町線!

さあ、もうそろそろ有楽町線の魅力に皆さんも気づかれているはずだ。どこを切り取っても微妙に外している、だが軍事系はちゃんと押さえている感じが、「ムッチャかわいいんだけどなんか抜けている。そしてミステリアスガール。趣味はサバゲー」系女子に見えないだろうか。
「ドジっ子・ミステリアス・サブカル系」というまぜるな危険系女子。ああ、もうどんなかわいい姿をしているんだろう有楽町線!!

もう、皆さんにも「有 楽町ちゃん」みたいな名前の女の子が脳裏に浮かんでいるのでは…?
あ、浮かんでない?それは私もだ。

結局「愛はどうなんだ」というところであるが、「愛している」というより「使わなきゃならないところに住んでいるから仕方なく使っている」という感じだろうか。
あれ?もうめちゃくちゃじゃないか。

ただ、他の線ではここまで思い馳せることはないであろう。なんともこの線は他にはない”人間味”があるのだ。
そこが魅力的に感じるのだろう。
ここで前言撤回。やはりそういう不思議な魅力に「愛が止まらない」のだ。
#日記 #地理 #電車 #地下鉄

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?