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古墳遊び

先日、お墓参りに行った。
お墓のある寺のすぐ近くには、子供の頃よく遊んだ古墳がある。
石室の入り口が開いていて、特に立入禁止でも何でもないので、自由に石室に入って遊んだのだった。
近所の子どもたちは、きっと必ず入ったことがあるはずだ。

久しぶりに古墳のすぐそばまで行って、写真を撮る。
柴犬くんを連れていたこともあり、中には入らなかったけれど、外から見た印象は、昔と変わらない。ただ、少し古墳の周りの石は、昔より荒れているように思えた。

古墳のなかはひんやりとしていて、石を積んでできた壁には苔が生えていたと記憶している。
入り口が開いていても、細長い石室は薄暗かった。途中に天井が低いところがあって、気をつけないと頭をぶつけてしまうのだった。
虫やトカゲや何やら怖いものが出てくるかも、と、ちょっぴりビクビクしながらも面白くて、探検する気持ちで入っては、壁に触れたり、大声を出してみたりして遊んだのだった。

そこが古墳だと知る前は、防空壕の名残なのかと思っていた。昔の人のお墓だと知ったときは、お墓の中に入って遊んでいたのか!とびっくりした気がする。

石室の本来の主はとうにいない。
永遠の眠りについたはずの主は、その場所で子どもたちが探検ごっこをして遊ぶのを、たぶん怒ってはいなかっただろう。祟りとかなかったし。たぶん、ね。


〈短歌〉
石室の壁はひやりと湿り帯び子らの瞳も濡れてひかりし



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