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二宮翁夜話 巻之一、第七節 ふつうの人の、ふつうの生活が大事なんです

自分の勉強も兼ねて、二宮翁夜話についての不定期投稿。ニワカのやることなので、読み間違いなどありましたら、ご指摘いただけると助かります。

・最初に

この節はシンプルに言うと
「壊れた家や道路を補修しようとしない人はダメだ」
という内容。

ただ、他の節と合わせて考えると、単に「怠け者はダメ」と言っているわけではなさそうです。

・原文と訳

この節は短いので、前文を前に載せます。

翁常に曰、人界に居て家根のもるを坐視し、道路の破損を傍観し、橋の朽(クチ)たるをも憂(ウレヘ)ざる者は、則(すなわち)人道の罪人なり 

小さな資料室

訳文

翁が常に言うことには
「人の世に暮らしながら、屋根が漏るのを放っておき、道路が破損しても見ているだけ、橋が腐っても気にしない。そんな者は人道における罪人である」

・感想

人間の作ったものは、天の働きでどんどん傷んでゆきます。それを補修しないで放っておくのは、人の道に反するという内容です。

この場合、放っておく人にも2パターンがあります。

1つは、怠け者の場合。勤めを果たさないものが人の道に反するのはわかりますね。

もう1つ、人の世のことを気にしない、浮世離れした感覚の持ち主のことをも指しているのではないかと考えます。

中国の故事には、ときどき世捨て人が出てきます。
道教の影響も強い中国では、汚れた世を離れ、清貧の暮らしを送ることは1つの理想でもあったのです。

そういう人にとっては、屋根が漏るなどというのは、大きな問題ではなくなるでしょう。

しかし尊徳のいう人の道は、「人の生活」という基準できまります。
第三節の水車の話でも、欲を水に例えて「世を捨て欲を離れたものは社会に用をなさず」といっていますね。

この節で、屋根の破損のほかに書かれているのは道路と橋。
みんなが生活で使うものの修繕です。

普通の人の、普通の生活を守ることが大事。
そういう解釈で読みました。




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