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甘酒 -発酵の基本知識-㊴

甘酒とよばれるものには2種類

甘酒と呼ばれるものには2種類あります。

  1. 米麹を糖化発酵させたもので、名前には「酒」とついていますが、アルコールや砂糖など添加していないもので、「麹甘酒」とも呼ばれます。
    麹の酵素の働きにより、栄養価が豊富なのが特徴です。

  2. 酒粕(清酒の搾り粕)を水で薄め、砂糖を加えたものです。
    初詣やお祭りなどの露店で冬の時期に売られる事が多く、独特な風味を持ち、アルコール分が体を温めます。


近年では特に注目されているのが1.の「麹甘酒」で、栄養成分が豊富でアルコールや砂糖を添加しないことから、飲用する層を選ばず万人に向いていることから、この項目ではこの「麹甘酒」に特化して述べていくこととします。


甘酒の栄養素

  • ビタミンB1
    糖質の代謝を促進します。神経や筋肉にエネルギーの供給を行います。近年ではアルツハイマーの予防や改善効果も期待されています。

  • ビタミンB2
    脂質の代謝を促し、細胞の再生や成長を助けます。十分に補給されることで脂質代謝がスムーズに行われ、エネルギーに使われるため、不足しないよう注意が必要です。粘膜を保護する役割があり、口内炎の予防にも役立ちます。

  • ビタミンB6
    アミノ酸とタンパク質の代謝を促進します。血糖値の維持や免疫向上の働きを助け、細胞をつくり、筋肉の働きを調節します。

  • ビタミンB12
    核酸(DNA)の合成を促進し、細胞を増殖させたり、赤血球の生成や神経細胞の修復を葉酸と行います。傷ついた末梢神経を修復させる効果もあります。

  • ビタミンK
    天然由来のビタミンで、チーズなどにも含まれる微生物により作られるビタミンです。カルシウムの働きを高め、骨を丈夫にし骨粗しょう症予防効果があります。

  • パントテン酸
    脂質の代謝を助け、血液や細胞内にある余剰コレステロールを回収するHDLコレステロール(善玉コレステロール)の生成を促進します。

  • ビオチン
    脂肪酸やアミノ酸の代謝を促進し、皮膚や神経組織などを正常に保ちます。ビタミンHとも呼ばれています。

  • 葉酸
    動脈硬化の予防、DNAや赤血球の合成を促進します。胎児の成長に不可欠なビタミンB群の一種で、妊婦さんに積極的に摂取して欲しい栄養素です。

  • コウジ酸
    活性酸素の除去やメラニン色素の抑制、除去などの効果があります。麹菌が糖を分解することによって生成されます。近年では美白目的の化粧品などにも使われます。

  • オリゴ糖
    大腸内でビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えます。

  • 食物繊維
    甘酒には水溶性、不溶性の両方の食物繊維が含まれます。腸内環境を整える働きがあります。腸内細菌のエサになったり、便秘の改善や予防に効果があります。


現代ならではの甘酒の種類

甘酒は、本来なら白米の甘酒が基本ですが、玄米麹からも甘酒を作ることができます。

玄米にはぬかが多く含まれるので糖化発酵しにくく、白米の甘酒と比べると甘みが抑えられますが、その分、食物繊維などの栄養素は多く含まれます。

近年の健康志向により、玄米の甘酒の種類も増え、好んで玄米の甘酒を選ぶ消費者も増えています。また、糖化作用を利用し、蒸したサツマイモやカボチャなどから甘酒を作る方法も試みられ、お菓子作りや正月のきんとん、料理などに使われています。

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