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入社3ヶ月。非常勤の平社員でも現場は変えれる。-介護記録時間を「50分/日」削減できた話-

僕は介護業界はまだまだよくなると信じています。

介護サービスで大切なのは、
介護職と利用者の間で成り立つ「ケア」であることに間違いはありません。

「ケア」の温かさはとても大切です。

しかし、介護施設では、「ケア」だけではなく「記録業務」もあります。
思っている以上に、「記録」にとられる時間が多いのです。

温かい「ケア」を行うことに時間を割くためにも、「記録」をいかに効率よくさせていくかはとても大事な視点です。

今回は、その「記録」を改善させたという記事になっています。

興味ある方は、一読してもらえると嬉しいです。

また、リーダーシップは、職位を指す言葉ではありません。
僕のような新入の平社員でもリーダシップを発揮することはできると思っています。

上から目線ではないのですが...
僕と同じような立場の人が少しでも行動に移し、現場を良くするきっかけになると嬉しいなと思います。

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現場をかえることができるのは、

管理者だから、役職者だから、
ではなく、
本気でやろうとしている人がいるかどうかである

ということが
少しでも伝わると嬉しいです。

しかし、それなりの手順を踏む必要はあると感じます。

今回はできる限り再現性を持たせるために、
そして、自分の備忘録としても記事に残そうと思います。

郷に入れば郷に従え

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私はこの考え方を大事にしている。

職場で、何者でもないやつが意見だけしても何も聞いてくれない。
職場からの信頼を得ることが何よりも大切だと感じている。
焦らず、時間をかけても良いところだと思っている。

入職して2ヶ月ほどは、意見をほとんどせず、
一般業務の質を高くこなすことを意識した。

現場を観察し、
どの職員がキーマン(職位ではなく)なのか。
どの業務が大変と感じているのか。

などを把握して、改善点をメモしていった。

また、会社や組織には歴史がある。
歴史があり、今の文化が醸成され、業務(ヒトの動き)が実施されている。
そのため、我流ではなく、組織の方法(ルール)でやってみることが重要だと感じている。

今回も、「効率が悪いな」と感じることも、
まずは、同じ方法で取り組んでみた。

そうすると、改善点の発見にも繋がってくる。

ジャブを打ってみる

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数ヶ月、勤務してきて、私が感じた課題を管理者に軽く伝えた。
課題は集客の部分と記録業務だった。

集客となると、施設の強みや職員教育も考えなくてはならなく、
変数が多くなるので、時間がかかってしまう。

今回大事だと感じたことは、
小さい変化でも良いから、短時間で確率高く実施できることである。

管理者も常々、
「どうにかしたいんだけど、どうしたら良いかな・・・」
という言葉を漏らしていた。

そのため、今回は介護記録の改善に取り組む方が、
良いのではないかと感じていた。

しかし、私だけがそう感じていても仕方ない。
管理者や他の職員が同じく課題と感じているのかは、
確認しなければならない。

業務改善に取り組んだ時に、
誰も協力をしてくれないという結果となる可能性があるからだ。

自分一人の力はたかがしれている。
課題当事者(仲間)がなければ、物事は長続きしない。

管理職には、
「記録業務ってかなり大変ですね〜。」
「みなさん、どう感じているんですか?」

などと、声かけをして、反応をみていた。

そうすると、やはり課題に感じていて、
「できるだけ、必要がない内容は省きたい」
と言われてたので、取り組むことにした。

課題を共有し、見える化する

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ここからは、どうやって取り組むのかを話し合った。

いくらか、立ち話程度で話合っていたなかで、
議論が飛躍したり、話題が変わってしまい
何も決まることなく、話が終わってしまうことも多々あった。

どこを改善させる必要があるのか、
どのような方法をとるのかを丁寧に話合うことにした。

自分が思っていることが、
口頭だけでは、50%程度しか伝わっていないと感じて、
資料を用意して管理者に説明させてもらった。

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記録業務と一括りにするのではなく、
3つの属性に分かれていることを説明させてもらった。

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1日の記録可能時間の話をして、どれだけ介護記録が負荷となっているのかを共有した。

さらに、この業務改善は“何を(どこを)目指すためのもの”なのかを一緒に考えた。

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そして、どこまで改善すると「成功」と言えるのかを数値で示した。

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この業務改善が何を目的とするものなのかという、
俯瞰的に捉える作業を行った後は、

課題に集中していくために、
まずは何に取り組むべきなのかを提案した。

ここでは、連絡帳業務をstep1で取り上げた。

しかし、管理者と対話を重ねると、
「ケア記録」を優先させたいということだったので、
step2から介入することになった。

「ケア記録」の業務を洗い出す

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ケア記録は全て介護ソフトに入力することになっている。
排泄記録、歩行記録、食事記録...
一つ一つ丁寧に業務を洗い出していった。

これらの記録を、ノートや別の記録シートに手書きで、書き写し、PCへ入力するという手順を踏んでいた。

非常に手間がかかっていたが、そこの改善の前に、
そもそも、現在の記録項目が本当に必要な記録なのかを
検討していかなければならない。

業務改善をするためには、

①本当に必要なものかを検討する
②残った業務を効率化させる
③仕事を適任者へ振る

という手順が大切だと考えている。

①、②の順番が逆になってはいけない。
必要でない業務をいくら効率化させても、
必要でない業務であることに変わりない。

そのために、一つ一つの記録が、
なぜ必要なのか、どういった経緯で記録項目として追加されたのかを丁寧に確認をとっていくことが重要になる。

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その結果、記録業務の時間は「30分/日」に改善した。

今までの、ほとんどの記録をノートやPCへ入力することはなくなった。
目的なく、ただ作業として記載をしていただけだったのだ。
「きっと必要であろう。」という憶測だけで記録をしていた。

ルーティンワークを記録するのではなく、
ルーティンワークから得られた情報を記録していく方へシフトした。

例えば、歩行記録(機能訓練加算はとっていない)であれば、

今までは、「歩行実施、施設を○周、シルバーカーで、いつもと変わりなく、痛みなく歩かれる。」というような記載を何名にもしていた。

いつもと変わらないのあれば、記載する必要はない。

「いつもより息切れが激しい」「いつもよりふらつきが強い」
というような変化は大切な情報となる。

全体的にそういった「変化」を記載していくことにした。

そうすると、圧倒的に記録する内容は減少し、
大切な情報だけが記載されるようになった。
情報を受け取る側にもメリットが出てきた。

業務改善をしていくなかで、
「記録」に対する姿勢も変わったのは大きいことではないかと思う。

業務改善をしてみて...

管理職や他の記録を行う職員からも、
「めっちゃ楽になった」という声が聞かれている。
そして、運用して1ヶ月近く経過しているが、
エラーは何も起きていない。

何より、記録にとられていた時間を
利用者とのケアに充てる時間にできていたり、
別の業務に充てる時間にできている。

最後に

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今回の業務改善で大事なことが、
ICTを全く使っていないということである。

現在、介護施設では業務改善や効率化を目的に
介護ロボットの補助金が出ている。

よくあるのが導入してみるはいいものの、
使いこなすことができないということだ。

この問題の原因の全てが、
介護ロボットやICTにあるのではない。
導入する施設にも問題はある。

導入する目的はなにか。
どういった変化が具体的に起きれば成功なのか。

が明確になっていないことが大きな問題だ。

私は、
今の介護業界には“立ち止まる”ことがとても大切だと感じている。

「ケア」にしても「業務改善」にしても。

なぜ、そのケアをしているのか。
なぜ、業務改善を行うのか。
そして、現状の課題はなにか。

「あの方法がいいのでは?」「やってみよう」と
すぐに、方法の議論をしたり、行動に移すのではなく、
「立ち止まり、考える」という作業が必要だと感じている。

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僕は若い職員だろうが、職位が低かろうと、関係なく
リーダーシップは発揮できると思っています。

若手職員の方が新しい知見を持っていることは多々あります。
そのような若手が、長年勤めている経験豊富な職員と協働することで、
現場は、まだまだよくなると信じています。



僕は、小さくとも変化を起こしていきたいな...

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終わり。

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