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イギリス、ときどき江戸

いつだったかBSでミス・マープルを放送するという予告を見た。その後図書館でマープルのシリーズを読み始めた。
ドラマの方は以前、夢中になって観たけれど内容はあまり覚えていなかった。ただマープルのこぢんまりとした暖かい部屋の様子、街へ出かけた時、散歩の時に見える景色、マープルの話し方などは本を読みながら思い出すことができた。

アガサ・クリスティの他の作品を調べていると「アガサ・クリスティ賞」というものがあった。その中から「黒猫の遊歩あるいは美学講義」を図書館で借りてみた。今までたくさんの推理小説を読んできたけれど、いろんな意味で衝撃だった。
よくわからないのにわかった感じ。上辺だけ。
作者の膨大な知識の海の、水面だけを見せられた感じ。
その本の中に少しだけ時代小説での例えが書かれている部分があり、そこを読んだ時ブワッと奥行きが広がった。今まで文字を追っていただけなのに突然パノラマの鮮やかな景色が目の前に広がった。
知識ってこういうことなのかなぁと感動した。
時代小説も推理小説と同じくらい読んできていたので、その時代の人々の暮らしや季節の風景が頭の中にはっきりと思い描くことができる。
今までわかるようなわからないような、あやふやな感じで読み進めていたのに、ストンと解った。
理解するってこういうことなのかなぁと感じた。

この作者に触発された訳ではないけれど、イギリスの片田舎に住むマープルやロンドンの街中に住むホームズの世界も鮮やかに頭に思い描いてみたい。
不穏な霧の風景、猥雑な酒場、石畳を行く馬車の音、芝生の向こうにある教会、自転車に乗るハンチング帽の青年、、、
そういえば幸いなことにまだシャーロック・ホームズしか読んでいなかった。私にはアガサ・クリスティ、エラリー・クイーン、ディクスン・カーがいる。

いろんな作家の描写の仕方を読むことによって、頭の中の映像がより鮮明になっていく。その国のその時代に生きていなかったのに、本を通じてこんなにもはっきりと思い描くことができるのはすごいと思う。
もちろんテレビドラマにもかなり助けてもらっている。
3月10日にNHKで「なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか」が始まる。アガサ・クリスティの作品だ。
あ〜、楽しみ!


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