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【発達障害】書字困難サバイバル <小学1~2年生編>

読了目安:9分


2024年3月26日 追加履歴
小学1年生のときの、実際の書字画像を追加しました

【書く】のがしんどい子


まず、こちらをご覧ください。

これは、中3長男が実際に書いた文章です。
どのように感じられたでしょうか。

「くせの強い へたくそな字だな」
「漢字間違ってる」そんな印象ですよね

この文章は、
中学3年生である長男が
文章を考えながら、一生懸命書いた文章です。
これが彼の一生懸命。

そして、原稿用紙1枚程度の文章を書いた後
長男はとても強い疲労感を感じて
ぐったりしてしまいます。

加えて、文章を書くとき
ひらがなカタカナ漢字、文字が正確に思い浮かびません。
特にカタカナはとても思い出すのに時間がかかる。

しかも、想起できないだけでなく、
スマホや辞書で正しい文字を表示させ
それを傍らに置いて、見ながら書いても
正確に書き写せない。
例えば、「園」のくにがまえの中は
見て書いてもぐちゃぐちゃっとなってしまう。

上記文章も、辞書を引き、見ながら書いた文章。

「岐阜」の「阜」

「陶器」の「陶」

辞書を見て書いても、正しく書けない。
「陶」の字は先生から赤字で添削が入っていますね。

これが、長男の書き困難の特徴です。

ひとことで言うと
書くのがしんどい
頑張れば何とかできる
でも、かなりしんどい

実は、「読み」困難もあるので
正確には
「読み書き困難」

これからのお話は
長男が書き障害を抱えて
圧倒的多数の定型発達児の中で
15年間生きてきて
今までも、これからも続く
【書字困難サバイバル】のお話です。

他の子ができることが 自分はできない

私が長男の書字の違和感を指摘され、
気づいたのは 長男が小学2年生のときでした。

多動が激しく、2歳ごろから
明らかに他のお子さんと比較して
動きが違う子だった長男。
集団生活での問題を、2歳から通っていた幼稚園で指摘されて
3歳を迎えてすぐ、市内にある療育機関を受診しました。

多動や集団適応の面で
発達特性に気づいて療育を始めたのは3歳ですから、
早い方だと言えるのですが、
それに比べて「書き障害」は、私としては「ノーマーク」。
小学校低学年の当時、母親の私はそのことに
全く気づいていなかったのです。
理由は分からないのですが 
なぜか想像もしていなかった。

現在、中学3年の長男が、小学1年当時を振り返って
「クラスのみんなができること
例えば、文字を書くとか、計算ができるとか、
それが、自分はできなかった」
と。

30人の教室の中で
たった7歳 小1だった長男が
「できない自分」と日々向き合あっていたのに
母親の私はそれに気づいていなかった。

小学1年生の時の、長男の連絡帳です。
なぜか、当時の私は
この書字をみても、
長男の字は下手なだけ、と思っていました。
書字障害、と考えたこともなかった。

当時、起きていたことは
小学1年生から登校渋りがひどく、
学校内外で 対人トラブルも毎日のように。
しょっちゅう学校から電話がかかってくる毎日。
対人トラブルで、相手のお宅にお詫びに伺うことも
1度2度ではありませんでした。

ですが、付き添い登校で
なんとか1年生の間は渋々登校させていました。

小学2年生になったときに、状況は一変しました。
担任が「ベテラン教師」先生に変わったことがきっかけでした。
この「ベテラン教師」先生、
保護者の間では、丁寧で厳しい指導で有名な方。
特に、書字の指導が厳しく、漢字練習はしっかり丁寧に
きれいな字を書かないと何回でもやり直しさせる。
その指導は厳しくて、プリントが終わって先生のマル印がなかなかもらえず
昼休みも漢字練習で終わってしまうこともある、との評判でした。
しかし、その丁寧で厳しい指導のおかげ?で、
このベテラン教師のクラスの児童は、皆、字がとてもきれいになる、とも。
私が実際に先輩ママ達にヒアリングしたところ、
とても高い評価をする保護者の方もいれば、
厳しい指導に、あまり良い印象を持っていない保護者の方もいました。

この丁寧で厳しい指導の「ベテラン教師」先生の指導方法は、
長男には全く合いませんでした。

小2の4月、新学期が始まって長男の様子が一変しました。
態度が乱暴になり、表情も険しく。
学校からは、連日電話がかかってきて
学校で、教室で、長男が起こしたトラブルの数々を報告される毎日。
子供同士のことで、他害行動にまで及ぶことも。

私も訳が分からないまま、学校に呼び出され
会う方、会う方、皆にとにかく頭を下げて、お詫びする毎日でした。
そして、学校に呼び出されて迎えに行ったときの、
教室での長男のただならぬ様子と、
目つきが変わり、表情が別人のように険しくなってしまった
長男を見て、とっさに異変を察知しました。

 これは、ただ事じゃない。
 このクラスの環境は無理だと

長男が教室でとった数々の問題行動のなかに
「配られたプリントをゴミ箱に捨てた」というものがありました。
今、振り返れば、みんなができることができないと苦しんでいる子が
「きちんと書きなさい」と指導されて、どんな気持ちになったか。
しかし、この「ゴミ箱に捨てた」行動だけを
「ベテラン教師」先生に指導された長男は、
更に反抗的な態度をとってしまい
その結果、問題行動として、強い指導が入ったのです。

過ぎてしまった過去を悔やんでも 仕方ないのですが、
この小学2年生の頃のことを思い出すと、やはり悔やんでしまいます。
 書字障害にもっと早く気づけば———
 支援級にもっと早く入れれば———

そして、SOSを発していた長男の行動を、
ただ問題行動として捉えていた自分にも、
そして「ベテラン教師」先生にも
悔しい気持ちが湧いてきます。

何か、方策があったのではないか——

繰り返しにはなりますが
過ぎてしまった過去を悔やんでも 仕方ないのですが
分かっているのですが
やり場のない気持ちになってしまいます。


「お母さん、この子書字困難あるね」

小学2年の時、通常級に在籍していた長男。
5月には教室に入ることが
出来なくなってしまいました。

当時、特別支援級が無かった小学校で
行き場のなくなった長男。
校長先生が取り計らっていただき、
緊急避難的に、校長室に登校を始めました。
緊急避難とはいえ、結果的には
校長室登校は1年間、続けさせていただきました。

その校長先生直々に、
「教育相談」というサービスが利用できる、と
案内を頂きました。

当市では、特別教育支援センターで「教育相談」をいう
特性のある児童とその保護者向けの相談サービスを提供している、との説明でした。
これからどうしたら良いか、右も左も分からない状況で、
私は藁にもすがる思いで 「教育相談」に申し込みました。

「教育相談」担当いただいたのは、ベテランっぽい印象の中年男性。
聞けば、長年特別支援学校の教師をしていた、という先生でした。

初回面談で、長男としばらく話をした後、
先生から「ちょっと勉強してみようか」と提案があり
国語の教科書とノートを出して、簡単な指導が始まりました。

ノートに長男が文字を書いているのを見ながら、
その元特別支援学校の先生が一言

「お母さん、この子 書字困難があるね」

 さらっと、言われたのです。

うっかりしていると、さりげなさすぎて
危うく聴き落としてしまいそうなくらい
普通の会話のように言われたことを記憶しています。

「??書字困難??」

私は、思いっきり聞き返してしまいました。
私にとっては、思いもよらない言葉。

今振り返ると・・・

学校生活、教室内での
集団生活や対人関係でのトラブルの数々を経て
私の中で、長男の特性は
【集団に入れないこと、対人スキルに問題があること】という
表面的な部分しか見ていなかったのです。
いわば、氷山の一角しか見てなかった。

彼の抱えている困りごと、困難さに
気づいてあげることができなかった。

だから彼は自分を守るために 必死で抵抗した。
それを周囲の大人は「問題行動」と呼んだ。

その問題行動を何とかするのではなく
彼の困りごとに いち早く気づいてあげるべきだった———

遠回りにはなりましたが
小学2年生の2学期、たどり着いた教育相談で
ようやく彼の困難な面に気付いてあげることができたのです。

中3が語る 「小学校低学年の自分」

中学3年生の長男が 今ようやく
小学校低学年の頃を振り返って
通常級の中で過ごすことの困難さ
自身の言葉で語るようになりました。

彼の場合———
読み書き困難や計算困難からくる 学習の困り感、
聴覚過敏や視覚情報からくる 落ち着かなさ、
脳内が落ち着かない 多動の特性、
また脳内の落ち着かなさは 人の話が聴けないということにも繋がる、
更に、対人トラブル等へ発展する ソーシャルスキルの課題、等‥‥
加えて、特に低学年の頃は 姿勢の保持が難しく
椅子に背筋を伸ばして座り続ける困難さも。


もう、問題はてんこ盛り
両手で抱えきれないほど(笑 

教室で過ごせなかった理由は 大変複雑だった、と
今振り返って、分かるようになりました。

そして中学3年の現在も、
薄れたものもありますが、
基本的に困難さは継続しているということ。

長男の精神面の成長と 服薬に伴い
目立つ困難は 徐々に種類が変わってゆき、
読み書き困難、計算困難の学習面の困難さが
どんどん際立つようになってきた、という感じです。

発達障害の重複を なるべく早く理解する
そこから、お子さんの行動の理由が
少しずつ見えてくるかもしれません。

この後、他害行動にまでエスカレートしていた
長男の行動が環境整備で
落ち着いた小学校生活を送れるまでに
変わっていきます。

最後までお読みいただき ありがとうございます!


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