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型を知り、型を破る~小説書きへの指南本~

「プロだけが知っている小説の書き方」を読みました。

買った当時は仕事が忙しく、読み終えるのが今になってしまったのですが、
「今小説を書いている人」にはぴったりの本だと感じました。

小説投稿サイト「ノベルアップ+」で募ったアンケートをもとに一問一答で答えているので、悩みに沿って拾い読みできるのも本書の利点です。
基本的に読者の悩みから出発してるので、蘊蓄(うんちく)が長々と書いてある……ということもないのがありがたいですね。

注意点は、本書の対象が(やや)既に執筆経験のある方向けな点です。
「趣味で小説やSSをちょろっとだけ書きたい!」とか、
「まったく書いた事がないから着想法を体系的に学びたい!」という方にはちょっとハードルが高く感じるかもしれません(クオリティ面で妥協を許さない姿勢なので、コンテストへ応募したい方には向いてるかも)。

迷った時の指南書

内容は実際に読んでいただくとして、この本の効果的な使い方を私なりに考えてみました。

一番いいのは、執筆の進め方がわからない時に「まずこの方法でやってみよう」という起爆剤にすることだと思います。

本文中にも述べられている通り、小説の書き方は人によって異なります。
おそらく著者の執筆形態はプロット重視の「プロッター」よりかと思われますが、世間には筋書きをキャラクターの自由意思に任せる「パンツァー」タイプの小説家も存在します。

どちらが合うかは実際に書いてみないとわかりません。ただ、たとえ自分の執筆がパンツァータイプでもプロットの組み方は参考になると思います。
大まかにでもプロットを立てておくと、道筋から逸れた時にもズレの大きさから完結までの字数予測がしやすくなるからです。

プロットに関する誤解に「プロットを書いたら必ず沿わなければならない」というものがありますが、著者はそれを否定しています。
「キャラクターがもっとこうしたい、と動くのであれば、いったん書いたプロットは破棄した方がいい物語になる」とも書いています。

なのでまず書いてみて、どうしても合わなければ自分のやり方を確立する、ぐらいで試してみてはいかがでしょうか。

定石を知れば、その逆も狙える

また、小説を書く上での定石を知ることは、裏をかくためにも役立ちます。

たとえば情景描写について、著者は「大枠から詳細の描写に入ると伝わりやすい」と説いています。
セオリー中のセオリーなのですが、逆に決まりきった型を要所で意図的に外すことで、異質感や緊張感を演出することもできるんです。

例としてわかりやすいのが、ホラーの手法。
暗闇の中、遭遇した化物の正体が徐々に明らかになる……という場面では、狭まった視野からはじまり、少しずつ正体が判明していく方が肌寒い感覚がしますよね?

もちろん多用すると効果は激減するので、こうした掟破りはやるとしても一作品中一回です。
でも、一通り定石を知っておくことで、狙った場面で効果ある演出を思いつきやすいでしょう。

以上、読んでみた所感を簡単にですが書いてみました!
「執筆で忙しくてじっくり読めない!」という方にも読みやすく工夫されてるので、困ったときの手引きとしてお手元に置いて損はないかと思います。
できるだけ多くの「型=解決策」を知っておくと、書きはじめてから困らないで済むので、まずは一読してみてはいかがでしょうか。

余談ですが、実は私も小説の「場面描写」に特化した電子書籍を出そうと試みています。
一部内容がかぶる部分もあったので見直しを入れつつ、独自のアプローチができればと考えています。
宣伝になってしまいますが、もし発刊されたらお手にとってもらえると嬉しいです!

それでは、おたがい執筆頑張りましょう……!

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