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【盤評】GASTR DEL SOL - The Harp Factory On Lake Street (1995)

【盤評】GASTR DEL SOL - The Harp Factory On Lake Street (1995)

アルバムジャケットからディスクに至るまで全てが美しい金色に染まる、ガスター・デル・ソルの17分に及ぶ3部構成のEP。サードアルバムと記すところもあるけれどEPだろう。

壮大な室内学的音響から始まり、デヴィッド・グラブスとジム・オルークの紡ぎ出すたゆたうピアノと歌、心音のドローン。

音響系/ポストロックという言葉が生まれようかどうかという時期の作品だけど、とても抽象的でとめどない17分間。

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【盤評】EINSTÜRZENDE NEUBAUTEN - Kollaps (1981)

【盤評】EINSTÜRZENDE NEUBAUTEN - Kollaps (1981)

ノイバウテンの初めの地獄。

そもそもからしてバンド名である「崩れ落ちる建物」の通り、破壊的で壊滅的な要素に満ち満ちていて、タイトルも「崩壊」そのままである。

気が狂ったとしか思ないように荒れ狂う機械音。

無秩序に呪術的に打ち鳴らされるメタルパーカッション。

金切り声を上げるブリクサ・バーゲルト。

作品というかむしろ完成した何かしらの物体をひたすらにぶっ壊し続ける様を納めたもの。

バンド

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【盤評】THOMAS KONER - DAIKAN (2002)

【盤評】THOMAS KONER - DAIKAN (2002)

トーマス・コナーはドイツ出身のマルチメディアアーティスト。

Experimental Audio Researchの「The Koner Experiment」でその名を知った人も多いかもしれない。

ただひたすらに荒涼とした、凍てついた大地。

うっすら瞼を開けて灰色の世界を見る。

吹き荒ぶ風のような冷たい55分間のアンビエントドローンサウンド。

ミルプラトーから出た「DAIKAN」、日本

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【盤評】PRIMAL SCREAM - XTRMNTR (2000)

【盤評】PRIMAL SCREAM - XTRMNTR (2000)


00年代最初の年に投下された殺人兵器。冷たく吹き荒ぶ、鉄の様な嵐。

当アルバムはわたしの00年代最高のアルバムベスト5のうちの一枚である。

冒頭の「Kill All Hippies」からしてとてつもなく不穏な社会的・個人的な怒りが渦巻いており、尋常でない鋭利なノイズが全編にわたって貫かれている正にアクセラレーターであった。

それまでのイメージであった長髪をバッサリと切り落とし、まるで兵士の

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【盤評】SPARKLEHORSE - It's A Wonderful Life (2001)

【盤評】SPARKLEHORSE - It's A Wonderful Life (2001)

朽ちた納屋の、微かに光の入るホコリにまみれた屋根裏部屋。そこで見つけた箱を開けると聞こえてくる様な、暗く光る音。黄金の日。

スパークルホースの3番目のレコードであり、わたしはこれが彼らの作った中でもっとも美しいレコードだと思っている。陰影に富んだ、ダークで柔らかく、アンビエントなアメリカンゴシックの真髄。友人のPJハーヴェイや敬愛するトム・ウェイツもここへ招かれて、花束を一房置いて行っている。

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【盤評】AxCx - Everyone Should Be Killed (1993)

【盤評】AxCx - Everyone Should Be Killed (1993)

アナルカントのデビューアルバム。

米盤の方だとなんだかよく分からんおっさんが、よく分からんおっさんに今まさに殴りかかろうとする、Z級映画のワンシーンみたいなジャケでなんだか情けないのだが、このトイズファクトリーから出た邦盤の方は、血まみれの拳をドアップにした、解像度のクソ悪い絵になっている。日本にいるやつは大体こっちを買っているはずなのでみんなこっちの方が愛着が高いハズだ。ダサいのには変わりない

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