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食卓からのぞく台湾文化

すぐ隣の島国でありながら、異なる暮らしをもつ台湾。今日は、台湾の文化を食卓の風景からお届けします。

街全体が大きな食卓

テイクアウトも含めると台湾では、外食が8割を占めるといわれます。昼や夜だけでなく、朝ごはんも外で。ぼくは朝、散歩しながら米漿(お米にピーナッツを混ぜた甘い豆乳のような飲みもの)を飲むのが好きでした。

日本では、他所のお店の品は持ち込み禁止が多いと思いますが、台湾ではお店のおばちゃんに一声かけて席を借りることは、ままあります。通路に面した飲食店ではドアもなく、外に開放しているスタイルが一般的。

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台湾の神社のような場所へいくと、境内にまで屋台が出ているところもあり、食というのがいかに身近で、垣根がないものだというのを感じられます。

持ち寄りで溢れ変える食卓

台湾では、親しい人と出会ったときの挨拶まで、「吃飯了嗎?(ごはん食べた?)」。そして、食べていてもいなくても「よしじゃあ軽く食べにいこうよ」となる狂乱ぶり。集まって食べることが、みんなすきです。

テイクアウトも多く、親戚同士で集まるときは、各々が食べてほしいものを持ち寄るので食卓が溢れかえります。そんなとき腹がはち切れるほど食べさせられるのは、子どもたち。「多吃一點兒(たくさん食べるんだよ、元気になるんだから)」というのは大人たちの口癖で、無理な量を目の前にして聞くこの言葉は、恐怖を感じるほどでした(苦笑)。

親世代やその上世代が子どもの頃は、いつでもお腹いっぱいに食べられるほど裕福でない家庭も多かったからの価値観なのかなと、いまでこそ思います。

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おうちでつくって食べることへの美徳はない

台湾の外食文化の発展は、女性が働かざるを得なかったからと言われます。結婚しても共働きというケースも多く、ぼくのまわりも手に職持った女性ばかりでした。また、キッチンが付いていないマンション・アパートの物件も多く、自宅で自炊できないことや、外でも安く食べられるのも一因です。

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そうした背景もあって、近年では女性の社会進出度が高いことが評価されることも増えてきました。目立った例としてあげると、台湾の現大統領の蔡英文さんは女性で、今年1月に総統選での過去最多得票を記録し、再選を果たしました。立法委員(=国会議員)に占める女性の割合も3割を超えていたりと、世界でもトップクラスで男女での機会差が小さいと言われています。家庭でいうと、夫を立てるような場面は多々ありますし、各家庭や世代によっても異なっています。それでも日本よりかは進んでいるなあ、と感じてしまうところですね。

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台湾では、"おうちでつくって食べることが善いこと"のような価値観はありません。日本では、外食は不健康なイメージをもたれがちで、自宅でつくること(とりわけ女性が)を美徳とするような空気は、根強く残っています。ですが女性も外で働くことが増えたり、家庭が多様化する中で、過去に縛られない価値観を持っていきたいですね。

庶民の健康を支える屋台文化

外食文化の中心の担うのが、台湾の屋台。屋台といっても、日本のお祭り屋台とは違い、台湾の屋台は市場のような場所。子どもから大人、男女を問わず、いつでも賑わっています。

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台湾の郷土料理といったものも、この屋台の中で引き継がれてきました。台湾料理は、「医食同源」の考え方を取り入れています。たとえば、八角などを含んだ五香粉(ウーシャンフェン)という香辛料の独特な香りを、台湾の空港に降り立った傍から嗅いだという旅行者の声をよく聞きませんか。その五香粉も、薬膳としてのルーツがあります。屋台も商売なので、おいしさや合理性を追求していく一方、毎日外で食べるからこそ求められる水準があるのでしょう。

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また、台湾の人は「体を冷やすとよくないから」といって、暑くても飲み物に氷は入れない人が多く、料理も暖かいものを好みます。ただ、なぜかかき氷だけは特別。「雪花氷」というミルクを凍らせて削ったふわっふわのかき氷に、練乳や果物などを山盛りのせて食べるのがみんな大すき。気候の暖かい台湾では、一年中食べられています。

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台湾の食文化を表す麺線(メンシェン)

台湾に、麺線という屋台料理があります。"カツオ出汁が効いてトロリとしたそうめん"と、紹介されます。

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ちなみに日本のそうめんは、平安時代には貴族が食べる高級食材だったようです。洗練されていて、縁起がよさそうですよね。

一方で、台湾の麺線は、庶民的な屋台料理として食べられてきました。麺というよりほぼスープ、トロトロになった麺をスープとともにレンゲですくって食べるような食べ方をします。

大鍋に麺を入れてから時間が経っても、おいしく食べられる"紅麺線"を用い、いつお客さんが来てもサッと出せて、テイクアウトで持ち帰ってもおいしさそのまま、台湾の生活スタイルにあわせて継承されてきました。

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具材としての定番は、モツや牡蠣。台湾料理は、食材を無駄なく使うという発想から、豚や鶏などの内臓や血を利用する料理も多いです。また、島国なので牡蠣をはじめ魚介類もよく食べます。最後の仕上げに、ニンニクとパクチー。こうしてみると、麺線はなるべくして麺線に発展した、まさに台湾のソウルフードですね。

さいごに宣伝:おうちで麺線をたのしもう

さて、そんな麺線が、キッチハイクから商品化しました!もう、このことが嬉しくってnoteを書いちゃいました。

ぼくは台湾に帰ったときは、必ず食べるくらいに好きなのですが、日本でおいしく食べれる機会はなかなかありません。今回の台湾麺線セットは、作り手の台湾への愛とリスペクトを感じられるほど、オーソドックスな味わいを楽しめます。ぜひ文化を味わってみてくださいね。

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