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【プロジェクト紹介】『アートと考古学国際交流研究会実行委員会』ワークショップ②

全国・世界・地元から、福島県12市町村に、芸術家が集まり、滞在制作をするハマカルアートプロジェクト(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業))。
その採択プログラムのひとつ、『アートと考古学国際交流研究会実行委員会』による現地ワークショップが、2024年2月10日(土)~2024年2月12日(月)、および2024年2月17日(土)~2024年2月18日(日)の間、南相馬市小高区を中心に行われました。

今回も前半Weekのうち、『表現からつながる家"粒粒"』にて行われた

  • 「伝説の耳谷ーー大悲山の大蛇伝説と浦尻貝塚物語」

――アーティスト:gwai(服飾作家)、小原 二三夫(全盲の彫刻家)

【ワークショップ内容】

  • gwaiの服飾ワークショップ「大蛇っぽいドレスを作ろう partⅡ」

  • 小原による木彫、粘土塑像制作実演とギャラリートーク

を取材、後編として小原さんにお伺いしたお話をご紹介します!
※前編はコチラ

~~「木彫、粘土塑像制作実演とギャラリートーク」~~

小原さんは全盲の木彫家で、1951年、現在の青森県十和田市ご出身です。盲学校を出たのち、関西学院大学社会学部を経て、長く社会福祉法人日本ライトハウスに勤務されます(1981~2020年)。その中で「触る研究会・触文化研究会」を主宰(2003年~2006年)され、彫刻家の桒山 賀行(くわやま がこう)さんと出会われます。
そして2013年、桒山さんより木彫制作を勧められたことで、木彫家としての活動を開始されました。
また、全国の多くの美術館を訪問し、「見えない人たちにも利用しやすい全国ミュージアムリスト」をインターネットで公開するなど、現在も関西を拠点に活動されておられます。

今回伺った際は、ちょうど小原さんが木彫作品の解説をされているタイミングでしたので、そちらの内容を中心にご紹介します。

小原さんの彫刻制作「つながる」

今回の作品は「つながる」という作品名で、全体的には太平洋~南相馬市を中心とした浜通り地域界隈~磐梯山 までをイメージして作成されたものだそうです。

また、(上記画像の)手前が遠く広がる太平洋であり、東日本大震災の津波によって流され未だに見つかっていない船、そして津波にのまれて行ってしまった人を表現しており、2本の紐は遠く離れてもこの地と繋がっていることを表しているそうです。

船とそれに乗る人の"祈り"

また、陸地側は南相馬市の村上海岸や貝塚のある浦尻~浪江町の請戸~福島第一原子力発電所にかけての沿岸部を表現。防潮堤や貝塚・遺跡、原発建屋・タンク、そして海洋放水のトンネルなどが彫られていました。

また、もう一段陸から離れたところには、このエリアのあちこちで広く見受けられる一面のソーラーパネル(原発事故により農地から転用された)や、南相馬市小高にある大悲山の大杉が再現されていました。

小原さんが請戸を訪れた際、ボーリングによる地質調査が行われていたそうです。地中に挿し入れるボーリングを再現し、地中に埋まる部分が"これまでの時"、上に行くにつれ"いま"、そして"これから"を表現している棒が請戸を指す箇所に立てられていて、この作品を"手前・奥"のみでなく、"上・下"空間への拡がりを感じさせ、印象的に見せています。

沿岸部には様々なポイントが表現されていました

なお、作品最奥部の"磐梯山"も過去に火山爆発から岩なだれを起こし、多くの人が亡くなった歴史を持っており、福島県を象徴する山としてのみでなく、そうした方々への鎮魂の意も込めて彫られたそうです。
ちなみに作品の完成後、この場での作品設置をする際、副産物的に見つかったことだそうですが、手前部にて低い目線から見ると、まさに海から陸を眺めているように見え、さも阿武隈高地に向かって景色を眺めているかのように感じられました。

"海"から見る"陸地"

ということで、今回は木彫家 小原さんの展示・作品についてご紹介しました。

次回は同じく前半Weekにて、小高区 鈴木安蔵 生家 にて催されるワークショップ「法学者の書斎にて」(画家 奥 誠之さんの取材をお届けします!お楽しみに!)