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50年間地域に根差し続けたビジネスインキュベーションのパイオニア 東京商工会議所 港支部

浜松町Life Magazine、第9回は、東京商工会議所港支部事務局長の小野田さん。東京の様々なエリアでビジネスの種を育ててきた小野田事務局長に、浜松町芝大門ならではの企業の特色や街の魅力について伺いました。

日本の歴史と現代のビジネスが混在する街「浜松町」

-御社の成り立ちや事業内容について教えていただけますでしょうか。
商工会議所自体は全国500強ぐらいありますが東京商工会議所は日本で一番最初にできた商工会議所で、規模も一番大きいです。大河ドラマにもなった渋沢栄一が東京商工会議所の初代会頭で、140年を超える歴史があります。
東京商工会議所とは、分かりやすくいうと事業所の集まっている経済団体です。様々な事業者が集まって、一事業者だけでは解決できない課題を会員のネットワークを活かして全体で解決していくことを主題としています。
港支部は1974年に設立されていて、2024年には50周年を迎えます。今まさに記念事業の準備をしている時期で、私も港区の地域の皆さんにインタビューをさせていただいてる真っ最中です。

-株式会社世界貿易センタービルディングの設立にも東京商工会議所さんは関わっていますよね。
高度経済成長期、1964年の東京オリンピックを控えた中で、貿易と交通の結節点を作るというビジョンの元、世界貿易センタービルの設立が動き始めました。最終的には東京商工会議所が母体となって設立を進める形となったこともあり、4年後の1974年、港支部が設立された時からずっと世界貿易センタービルに入居しております。

世界貿易センタービル旧本館建設地

-小野田さんは浜松町勤務になってどれくらいでしょうか。
私は静岡出身で、地元で一度就職した後、3年ほどで東京商工会議所へ入社しました。世界貿易センタービルに事務所がある港支部は実は2回目で、計6年間お世話になっています。一時期静岡から新幹線で通っていたこともあって、浜松町駅から見える世界貿易センタービルと東京タワーは私にとって「THE東京」というイメージです。港区自体は海側(浜松町田町新橋付近)と山側(青山麻布赤坂付近)があり、幅広いエリアですが、交通利便性の非常に高い浜松町に事務所があるのはとてもありがたいですね。

―小野田さんが好きな浜松町のポイントを教えてください。
落ち着いているところですかね。浜松町という土地は非常に歴史が深いエリアなので、ビジネス街である一方歴史に裏打ちされた落ち着きがある、というところは好きな部分です。特に私は静岡出身なので、「浜松」という部分にも馴染みがあり、なんとなく落ち着けます。

創業件数都内NO.1?浜松町の企業特性

―様々な企業さんを見てきた東京商工会議所さんの視点からすると、浜松町の企業に特徴や、浜松町の強みというものはありますか。
意外と創業される方が多いです。初代の渋沢栄一が500の会社を立ち上げた関係もあって、私たちは今も創業支援に取り組んでおりますが、実は23区内でも港支部は創業の相談件数がダントツトップです。これについては、実は世界貿易センタービルさんが果たしている役割が大きいなと感じています。というもの、世界貿易センタービルが竣工した1970年代に入居していた企業の社員の方が独立して、そのままこの浜松町エリアで創業され、結構成功されているんです。30代を機に今の会社を辞め、そのまま土地感のある浜松町で起業されるというパターンですね。当時の世界貿易センタービルに入居していたのは基幹産業系の企業さんが非常に多かったものですから、大企業向けのビジネスコンサルティングをやる方が多いです。

世界貿易センタービル旧本館

―浜松町の最近のトレンドとしてどのようなものがありますか。
最近の特徴としては、二拠点生活されている方が多いです。地方に本籍お持ちの方が東京で仕事をするにあたって、本籍を移さずに、ホテル等に泊まりつつ平気で二年三年過ごされるパターンが多いんです。それはやはり浜松町のアクセスの良さに起因します。新幹線の駅が近いとか、空港が近い、シンプルに関東近県へ移動するにも非常に便利です。関西で生活しつつ、東京でも仕事できるというようなライフスタイルが実現できるのは、浜松町という街が本当にアクセスの良い場所だからこそだと思っています。

新しい「浜松町」を描くこと

―今後浜松町が未来に向かってどのような街になっていってほしいですか。
浜松町の方向性としては今、世界貿易センタービルさんが取り組まれているDMO、私はこれしかないと思っています(笑)。港区だけでなく、東京全体でエリア特性を生かした不動産開発が進んでいますが、浜松町においてはやはり増上寺や芝大神宮、芝離宮等を中心にしっかりとした歴史があることや、インバウンドへの訴求力がある海があることなど、他エリアと比較しても強みがあると思っています。日本人が思っている以上に海外ではウォーターフロントに対する需要がありますからね。
あとは、企業が多いという観点も強みとして捉えてもいいのかなと思っています。渋谷や六本木といった既に起業のイメージがある街が存在するので、大きくコンセプトとして取り上げなくても良いとも思いますが、実際浜松町は起業ニーズが多くありますので、起業イメージは非常にいい戦略になると思います。
街や、この地に根付く起業が有する確かな歴史・風土に、駅前再開発やDMOを起点としたインバウンドの誘致や観光振興が加わり、新しい風が吹いていく。そういうことがこれから取り組んでいくべき街づくりのキーワードなのかなと思っております。

―新しい浜松町を作る点で東京商工会議所港支部さんが力を入れていることはありますか。
MINATOシティーハーフマラソンです。港区役所と一体となって実施しているハーフマラソンなんですが、増上寺がスタート地点で、東京タワーがゴール地点です。参加者の方々が走るコースは普段通行止めできないようなところばかりなので、そうそう走れるところではないんですよ。だから参加ニーズも高いのですが、企画する側は結構大変なんです(笑)
このMINATOシティーハーフマラソンをもっと観光コンテンツとして海外向け含め発信していきたいと思っています。海外の方に向けてこのエリアでこういうことをやっているという所をアピールしていくためにも、DMOさんとも連携しながらこのコンテンツを活かしていけると良いなと思っています。

みなとシティハーフマラソンの様子

―東京商工会議所港支部として今後取り組みたいことはありますか。
冒頭でもお話しした通り、2024年には港支部設立50周年を迎えますので、周年記念事業を実施する予定です。「過去・現在・未来」をキーワードにしていく予定ですが、その中でも「この浜松町の未来をどう描いていくか」という部分が一番大切な部分だと思っています。現状、最も明確に未来像が見えているのは、世界貿易センタービルの建替を契機として新しくDMOが展開されているこの浜松町近辺ですので、例えば映画の舞台としての聖地巡りなども面白いアイディアだと思っています。浜松町は落語でいえば「芝濱」の地でもありますので、アニメ、音楽、映画、イラスト等のサブカル的側面を浜松町に全部集められないかなということを個人的には考えています。古典的な芸能の世界に浜松町を舞台としたものがあるように、映画やドラマ、アニメ等、新しい芸能分野でも浜松町を舞台に掛け合わせて、そこにまた何か反応が生まれて、新しいカルチャーやビジネスが生まれる。そういった材料を集める仕事が東京商工会議所ですので、この地にアイディアの種をまき続けていきたいと思います。


取材・文:吉田孝輔(世界貿易センタービルディング)・中塚麻子(玉麻屋)/編集:坂本彩(玉麻屋)/撮影:yOU(河﨑夕子)

東京商工会議所港支部
https://www.tokyo-cci.or.jp/minato/


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