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選挙イヤーと年頭所感

新春、あけましておめでとうございます。

毎年神社でひくおみくじで久しぶりに「吉」が出たので、気候も暖かいし、ちょっと良い正月かなという気持ちで過ごしている。子どもの頃はしょっちゅう大吉を当てていたけど・・。しかし、そんな微温的な正月の感触も束の間、いきなり年初から衝撃的な痛ましい災害そして事故が起きた。遠くからですが、犠牲になった方々のご冥福をお祈りします。

年初のそういった「事件」のことも受け止めながら、今回は、2024年に世界で予定されている数々の選挙について、概観的に少し考えをまとめてみたいと思う。

2024年は、選挙イヤーと言われている。

台湾やロシア、インド、米国などで重要選挙が予定されている。合わせた有権者の数は20億にものぼるといわれ、国際秩序の転換点となる一年になりそうだ。

備忘と参照のため、日程を簡単に書き留めておこう。

  • 1月13日 台湾総統選

  • 2月14日 インドネシア大統領選

  • 3月17日 ロシア大統領選

  • 4〜5月  インド総選挙

  • 6月   EU議会選

  • 11月5日 アメリカ大統領選

とくに台湾総統選は重要である。台中関係の緊張が高まっている状況にあって、近い将来の台湾有事について警鐘を鳴らす専門家もいる。私は専門家ではないし、正直、政治や国際関係の細かい話には興味がないのだが、折しも元旦の日本で起きた北陸の大地震を受けて、台湾情勢をめぐる日本の立ち位置や温度感に、今年から来年にかけて、若干の変化が出そうだな、出かねないなとうっすら感じている。

震源となった能登半島には北陸電力の志賀原発が鎮座し、周辺には柏崎刈羽原発や、福井の「原発銀座」が軒を連ねている。志賀と柏崎刈羽は現在稼働していないし、不幸中の幸いか、今のところ大事故のニュースは出ていない。

しかし、穏やかで晴れやかなはずの元旦、一年で最もテレビが視聴される日に、全局で地震報道が流されたことの意味は小さくない。

WBCや紅白歌合戦どころではなく、今回の能登半島地震は、真に国民的出来事となってしまった。翌二日、羽田空港で、被災地の能登半島に物資を運ぼうとしていた海保機がJALと衝突事故を起こし、乗員5人が死亡(1人重症)したことも、年初の国民感情をさらに増幅させた。

余震は当分続くだろうし、原発もどうなるかわからない。何も起きなかったとしても、今回の震源は「未知の断層」という評価もあり、こんな地震大国でやっぱり原発なんて無理なんだという世論が、2011年のときに引き続いて、再び盛り上がることもありうる。

問題はタイミングである。

冒頭で言ったように、今年は選挙イヤー。台湾総統選はすぐだ。選挙結果次第で、台中関係がさらに悪化して有事に発展すれば、日本も他人事ではいられなくなる。

だが、そのいわば「他人事でいられなさ」が、今回の地震および今後の国内世論を受けて、悪い意味で高まりそうな気配も一応読み取っておかなければならない。

原発反対の世論が高まれば、なおさら日本は資源を外国に頼らないといけなくなる。そうすると台湾海峡は死活的に重要だ。正月の地震が国民的出来事となったことで、「みなさんあのときあんなことがありましたよね!」という糾合が力をもちやすくなる。「こんな地震大国で原発は無理だ、資源は外国に頼るしかない、だとすれば台湾を守らないといけないだろう!」と、より濃厚なかたちで台湾有事への関与を迫られるシナリオも見えてくる。

コロナ禍の「終息」も束の間、日本は再び「動員の時代」に突入しようとしているのかもしれない。


・・という、ちょっと悲観的なシナリオを仮に提出したところで、「2024年は世界で20億人もの有権者が投票所に足を運ぶ選挙イヤーだ」という触れ込みの方も、それとして相対化しておく必要はあるだろう。

たしかに選挙イベントは盛り沢山に予定されているが、台湾は世界的には小国だし、対中対立も伝統芸的な側面がある。ロシアは結局プーチンが再選されて現状維持だろうし、インドやEUは、報道を見ているかぎりそこまで有意な変化や影響をもたらさなさそうだ。トランプだって二回目なわけで、再選されたとしても一回目ほどの衝撃はない。

というわけで、「選挙イヤーだすごいのが来るぞ!」というのは、メディアのいつもの煽りとして、話半分に聞いておく必要があると。半分は聞かないといけないですけどね。

むしろ、何か有意な変化が生じてくるとすれば、それは2025年以降の話になるのではないか。今年はどちらかというと様子見で、世界の展望が徐々に像を結び出してくるには、さらに来年を待たないといけないのだろう。

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