色彩の島々: インドネシア21日間旅行エッセイ集
本書は2018年12月に、夫婦バックパッカーとしてインドネシアのマルク州を旅した時の記録と随筆です。アンボン島アンボン市からバンダ島(Bandaneira)→ハッタ島→バンダ島(再上陸)→カイ諸島という旅路です。本書では時系列ではなく島ごとにセクションを区切っているため、時間的には前後する部分があります。
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「ねえ、見て! あれ!」
夫は目をこすりながら体を起こしたが、すぐに行動を起こした。母屋の方へ向かって走る!
「ジム! ドルフィン!」
_________「誕生日の贈り物」より抜粋
「速く、速く、もっと速く!」
私は心の中で祈った。
彼の身につけた長い尾ひれが、彼の泳ぎを加速する。ぐんぐんとイルカの黒い群れの方へ進んでいく彼を目で追いながら、彼ならイルカたちと合流できるかもしれないと思った。
_________「イルカを追う男」より抜粋
彼は自分の椅子を引き寄せて、近くでささやくように言った。
「知ってるか? この土地では、ほんの15年前までキリスト教徒とイスラム教徒の殺し合いが行われていたんだぜ」
遠くで、また稲妻が光った。
_________「水平線の稲妻」より抜粋
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