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勇者の剣を探さないでください

※今回はあまり健全な内容ではない、かつ中身のないエッセイなので、苦手な方や男性は気分を害する前にブラウザバックを推奨します※

昨日のエッセイが思いがけず観覧数を伸ばしており、初めましての方からコメントまで頂けて、鼻が天狗ぐらいに延びている筆者です。
せっかくなので、今日も女性に向けた夜の話をしようと思う。

よく、女同士で飲み会をしているとアルコールがほどよく回ったころに、普段は物静かで大人しい女の子から下ネタがぶっ込まれることがある。
こういう時、男性陣なら初体験の話だったり、
経験人数の数比べや戦闘モードのときのご子息のセンチメートルなど具体的な数値や大きさに拘った話をしているのだろう。
(体育畑にいる腐れ縁からの偏った情報のため、その他の男性諸君には大変申し訳ない。
異論がある場合には心の中でそっと枕を投げて欲しい)

しかし、女性陣に数値は必要ない。
もう少し情緒的だからと言えればいいのだが、端的に言うと、もっと生々しいのである。
基本的に、過去の恋愛話は相手への悪口や未練が8割を占め、現在進行形の場合には行為への不満話や自慢話になる。
具体的な事例を出すと…、と言いたいところなのだが、生憎こちらのエッセイを読んでいるリアル知人もいるので、「これって私のこと?」と訊かれると、今まで築き上げてきた友情にヒビが入るような気もして躊躇いが生じ、中々筆が進まない。
では、僭越ながら私のことをなんて言っても、人様に胸を張って話せるような面白い経験を持ち合わせていないので、なんとも手ごたえがなく、申し訳ない気持ちになるのである。
いや、でも、ひとつだけ。
やっと、振り絞った記憶について記したい。

勇者の剣を探して、午前二時

22世紀の頃に付き合っていた男性と、真夜中に恋愛映画を見て、甘い雰囲気になったことがある。切れ長の瞳で、ミントのフリスクの香りがする鼻が綺麗な人だった。
ところが、甘い時間が深くなるにつれて、彼がキョロキョロと落ち着きがない様子を見せ、突然立ち上がってベッドを降りてしまったのである。
すっかり不安になった私がそちらへ視線をやると、どうやら、装備品を枕元に出し忘れた彼が作業机の引き出しからごそごそと探しているようだった。素っ裸で。

こういうときって、その場に放置された女性はどういう反応をすれば正解なのだろうか。
当時は布団の中に丸まって、なるべく見ないように「手のひらをたいように」の歌詞を頭の中だけで暗唱し続けた。

ぼくらはみんな生きている
生きているから歌うんだ
ぼくらはみんな生きている
生きているから悲しいんだ

やなせたかし「手のひらをたいように」

オケラやアメンボを通り越してカエルやミツバチまで歌っても、なかなか勇者の剣は見つからないらしい。
白くて薄いお尻を向けながら、ゴソゴソと探している姿を見て途中でどうしても笑いの発作が止まらなくなり、ムードをぶち壊した私のせいで結局繋がることはなく、二人で仲良くクレヨンしんちゃんを見て、朝日を浴びた。

あれから墓標の上に星が出て、月がのぼって、百年経ったが、やっぱりあの時の居た堪れなさは忘れられなくて、また酒の肴になるほど強い話でもないので、自分の中に燻ぶり続けているのである。

それでは、最後に問題です。
一体私は今日のエッセイでいくつ嘘を重ねたでしょうか?


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