老後、男性の逞しさに気づく
自分の生い立ちのせいか、女性と仲良く生きていきたいという執着に捉われていた。
しかし、困難に陥った時に手を差し伸べてくれたのはいつも頭の良い男性だった。
それを認めたくなかった。
いつか信頼できる女性と出会えると信じていた。
今日は年内最後の受診日だった。
最近悩んでいた女性間のわだかまりを話すと、
「それは三者三様に曲者だったと言うことですね」と言われた。
私「やっぱり私はおかしいんですかね?」
医師「いえ、花さんがおかしいとは全然思わないですよ。
逆に花さんは相手がお子さんだったらどうしますか?」
私「あ。それはただごねてるだけだったら、一旦その場から離れます」
医師「そうでしょう?それで良いんですよ。変わらないんですよ。
何でそんな話が通じない人に理解して貰おうと思うんですか?」
私「子どもは私が一方的に愛情を与えなければいけないから。
でも同年代で同性だったら少しは理解して欲しいと期待してしまうんです。甘いですかね?。
先生だったら何と返しますか?」
医師「何も言わずに無視しますね。世の中の人はほとんど他人に興味ないし、他人の言葉なんて聞いていないものですよ。期待しない方がいいです」
私「でも、先生もそうですが弁護士さんとかも10言ったら10理解してくれる人もいるんです。
せめて10言ったら3位理解してくれれば充分だと思うのに。」
医師「自分もそうですが、他にもそういう人がいるなら、是非活用してください。
他人に期待すると傷つくだけなので」
悩んでいた後見人も引き継いでくれる人が見つかり、年内にカタがつきそうだ。
女性と仲良くしたいと思っても、結局ひどい目に合い拾ってくれるのは男性だ。
私は男性に頼ろうと思った事がなかったが、最近ふとした瞬間に男性の逞しさを眩しく思う。
例えば相手方と真剣に話し合いをしている最中に、ペットボトルの蓋が開かずに奮闘していると、何も言わずに横からさりげなくペットボトルを奪い蓋を開けて机の上に置いてくれる時。
一人ではとても持ち上がらない荷物を軽々と運んでくれる時。
ストーカーが待ち伏せているのを一瞬で察知して、守ってくれる時。
こんな貧乏くさい初老女なのに、一人の人間として尊重してくれる時。
下らない愚痴なのに、笑って返してくれる時。
今からはもう恋人もできないだろう。
それでも幻想や執着を捨てて、今後傷つかない方法を模索していくことはできる。
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